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おくりびと

2008/日本/松竹
出演:本木雅弘 広末涼子 山崎努 余貴美子 杉本哲太 峰岸徹 山田辰夫 橘ユキコ 吉行和子 笹野高史 
監督:滝田洋二郎
http://www.okuribito.jp/

偏差値:57.8 レビューを書く 解説

送るとは。 [65点]

※ネタバレを含むレビューです。
今更な気はしますが、観ましたっ。

チェロ奏者として活動していた大悟は、突然の楽団解散によって夢立たれて妻と共に故郷の山形へ帰ってくる事になった。
心機一転、求人で見つけた旅行代理店で働こうと意気込んでやってきたものの、そこは旅行代理店ではなく葬儀屋。
しかも、あれよあれよいう間に採用が決まり、そしていきなり現場に方込まれる大悟。
最初は戸惑いながら、周囲からの無理解に苦しみながらも、御遺体を向かい合う大悟だったが、徐々に納棺夫としての自覚が芽生えていくのであった。

アカデミー、日本アカデミーの両方を受賞しているだけあって、面白かったですっ。

人間の死というテーマを、大笑いとまではいかなくても、細かな笑い幾つか散りばめながら柔らかくしている印象と共に、夢やぶれて最初は嫌々、しかも周囲からの無理解に苦しみながら、それでも納棺夫として成長していく姿など丁寧に作られていたと思いましたっ。

2011/07/07 12:54

ころね

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前評判のわりには…ちょっと浅い? [76点]

※ネタバレを含むレビューです。
私も近い身内を送りだしたばかりなので「ああしてあげればよかったな~」とか感じる場面はありましたが… 伊丹監督の「お葬式」のようなタッチを狙ったんでしょうね、山崎努さんも出ているし。 でも。脚本が構成作家の方でしたっけ?そのせいか、短いエピソードとしては良いのですが、全体の繋がりが弱い。(伊丹さんと比較しちゃいけないかな) 風景描写とか後日談に一考の余地あり。佳作です。

2011/01/04 15:54

adoxxx80

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親のことを思い出します [78点]

※ネタバレを含むレビューです。
アメリカで日本では初となるアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、不景気で落ち込みムードの日本を活気付けた名作です。死について描いた映画は確かにあまり無かったですが、僕はこの映画のテーマは「親」だと思いました。この映画がこれだけ受けたのは、そこだと思うのです。

僕はこの映画はもう3回見てますが、見るたびにそのテーマの重たさがわかってきました。うちの両親は今も元気なので、最初見た時は死というものをあまり身近に感じなかったのですが、見るたびに親に対する考え方のようなものが変わって来る気がしています。

色々気になる描写もありますね。主人公の仕事に対して反対する人があまりにも多く、そこがどうも納得できないんですね。僕の友達や親戚は葬儀屋ですが、彼らをそんな偏見で見る人ってそんなにいますかね。

面白かったのは、楽団が解散して職を失い、社長と出会い、仕事を覚えて良くまでのくだり。モックンのモノローグがいい。僕は主人公がチェロを売るところが好きですね。このときの主人公の気持ち、すごくわかります。前半のくだりの話術は見事の一語ですが、風呂屋のおばさんが亡くなるところからは、もう少し頑張って欲しかった。

2009/12/20 23:10

シネマガ管理人

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すべての人に優しい映画 [90点]

亡くなった人にも、また残された人にも優しい作品です。

亡くなった人の手を優しく包み込むように解きほぐし白装束を着せるしぐさは、まるで神聖な儀式のようでした。

脇役も演技派ぞろいで安心して作品を観ることができました。

特に山崎努氏の上司役は、名作「お葬式」をイメージさせる意図があったのかも知れませんが、まさにはまり役でした。

この作品で初めて納棺師という職業があることを知りましたが、うちの田舎ではそのような人はいなかったと記憶してるので、地域的な職業かもしれません。

予告編からは静かで重い作品のような印象を受けましたが、主人公にとって全く未知の納棺という仕事のカルチャーギャップから随所に笑いがちりばめられていて、時には笑い、時には涙でき、私にとって今年ベスト1の作品でした。

この原作を見つけ出し、映画化を実現させた主人公役の本木雅弘氏に拍手を贈ります。

主人公が河原でチェロを演奏する姿がヨー・ヨー・マに見えたのはご愛嬌ですね(笑)

2008/10/02 23:26

kira

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心と気持ちが優しくなれる映画 [90点]

“モントリオール世界映画祭グランプリ受賞”「おくりびと」(松竹)。とても地味なテーマを描いた映画です。でも、素朴でとても優しい気持ちになれる映画です。

 吾輩“モントリオール世界映画祭”が、どれほど権威のある映画祭なのか存じません。しかし、今回のグランプリ受賞は、この映画にとって非常によろこばしいことだったと思います。何せ、公開初日から“満席”でしたから。この“賞効果”がなかったら、この映画はひっそりと公開されて、あっさりと上映終了していたかも知れません。それくらい、取り上げているテーマが、この上ないくらい地味なモノですから。でも映画自体の出来は、とても素晴らしい物でした。ですから多くの人が映画館に足を運んでこの映画をご覧になるっていうのが、何かとっても嬉しいです。

 “納棺師”という仕事があるという事を、吾輩はこの映画を観て初めて知りました(いや、ああいうことは、全て“葬儀屋さん”がやるモンだと思ってましたので…)。遺体に死に装束を着せ、死に化粧を施し、あの世へ送り出す。映画ではその作業の一つ一つの動作が、入念に撮り上がられていて、さながら崇高な儀式のようでした。ある意味これは一つの“芸術”だと思います。映画の中では、“遺体を扱う仕事”ということで、抵抗を持つ人々の様子も描かれています。吾輩なんぞは、さほど抵抗は感じなかったのですが、やはりそのように感じるのが一般的な通念なんですかね?しかし、その人達も大悟の“凛とした”仕事振りを見て、考えを改めていきます。様々な形の“人の死”に、愛を持って向き合い、その最期を送り出す“納棺師”。非常に素晴らしく、気高い仕事だと思います。

 主演の本木雅弘さんが、イイ演技を見せてくれます。最初の方は、何となく“ダメ男”なんですが、様々な“人の死”と向き合い人間的に成長していく主人公・大悟の姿を、抑えめの演技で堅実に好演しています。もう“モックン”なんて呼んだら失礼ですね。そして妻役の広末さんが、これまたイイ!一時期“プッツン女優”とか言われてましたが、何か完全にふっ切れてるんでしょうね。可愛くも芯が強く、愛する夫を常に支える妻・美香をとても愛らしく演じています。いやあ、あんな奥さん、そうそういませんよ!
 山﨑努、余貴美子、吉行和子、笹野高史…、脇を固めるベテラン俳優陣の皆さん。もう何も言うことはございません。映画を安心して見ていられます。それぞれの魅力を如何なく発揮され、この映画をとてもしっかりした作品に仕上げています。

 観る前は、宣伝などから『ひょっとして“号泣誘発映画”なのかな?』と思っていたのですが、随所にユーモアが散りばめられていて(事実、前半1時間くらいは、笑いの方が多かった)、観ていてとても優しい気持ちになれました。こういう“心が優しくなる“演出、滝田洋二郎 監督は、ホントお上手ですね。あと、久石譲 さんの音楽と、山形の素朴な自然の風景が、観る者の心を更に優しくしてくれます。
 何度も書きますが、決して派手な大作ではなく、地味な映画です。でも日本映画として、日本文化の優しい所が描かれていて、本当に“秀作”です。来年のアカデミー賞の日本代表に選出されたそうですが、何とか“外国語映画賞”にノミネートされてほしいですね。ガンバレ!

2008/09/18 21:24

mori2

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『おくりびと』トークイベントのご案内

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