堤真一が迫真の演技で手術シーンに臨んだ『孤高のメス』公開

孤高のメス

6月5日(土)、銀座にて、『孤高のメス』の初日舞台挨拶が行われ、出演者の堤真一(45)、夏川結衣(42)、吉沢悠(31)、中越典子(30)、そして成島出監督が登壇した。

『孤高のメス』は改正臓器移植法が成立される20年前、タブーだった肝臓移植について描いた重厚な医療ヒューマンドラマ。現職医師・大鐘稔彦によるベストセラー小説をもとに映像化。堤真一がオペのシーンを吹き替えなしで演じたことが話題を呼んでいる。

堤らは、東映の本社ビル前で鏡割りを行ってから舞台挨拶に臨んだ。路線的には去年の大ヒット作『劔岳 点の記』の公開時期と重なっており、本作がどのくらいヒットするか業界の関心が高まっている。

都はるみの「アンコ椿は恋の花」の曲をバックに登場した堤ら。ここで会場はいっきに明るいムードになった。堤は「上映後の挨拶は妙に緊張します。映画というのは一年で作るんですね。一年前に撮影して、完成するのがその一年後なんですけど、その間、僕たちは別のことをしていたり。演技というのはクランクアップで終わりで、その後はすべて監督に委ねるから、僕らのやることは一年前に終わってるんです。だから映画のことも忘れちゃってるんですけど、映画ができてキャンペーンで回ってるうちにああ良い経験したなと実感として沸いてくる」と挨拶していたが、その横で夏川はクスクス笑い。「え?何を笑ってるの?」と堤から問われると「キャンペーン、楽しそうだったから」と夏川。それを聞いた堤は「言うこと忘れてしもうたやんか。本当に」と切り返し、まるで夫婦漫才みたいな一幕になった。堤らは北海道から九州まで宣伝活動をして回ったという。

監督は公開初日が一番緊張すると言っていたが、堤は「僕らはクランクインが一番緊張するんです」と語る。しかし今回最も堤が緊張したのは手術シーンだったようだ。「まわりに立って見ていたのが本物の医者たちだったんですね。だからメスの持ち方ひとつにも気になって、とにかく緊張してぷるぷる震えました」とのこと。役作りのために撮影前には本物の手術も見学したというが「ガラス張りのところから見るのかと思ったら本当のオペ室に入って目の前で見学させてもらいました」とのことで、スタッフがこの映画にかける本気度の強さがうかがえた。

吉沢含め、医者役の役者はみんな手術シーンの練習をしていたそうだが、血管を紐で結ぶシーンのために役者たちは自分の椅子に糸を通して練習していたそうだ。吉沢は「堤さんの椅子が一番糸だらけで、毛が生えた椅子みたいになってました」と振り返った。現場は実際の手術室のように緊迫した空気だったそうだが、休憩時間の堤と夏川の会話が端から見ても面白くて、吉沢は「夫婦漫才みたいで、オンとオフがうまくとれていて、それを見て楽しんでいました」と毎日二人に癒されていた様子。

成島監督はこの映画で都はるみの歌を使ったことについて「原作ではポール・モーリアだったのですが、ポール・モーリアだとこれからマジックが始まるみたいだったから何かいい音楽はないかと思ったら、演歌面白いんじゃないということになって、あの音楽をかけることでみんなの緊張が解けるということで使いました。映画と現場の一致団結していく感じが本当にシンクロしていました」と説明していた。

最後に司会者から「孤高のメスはどんな作品になりましたか?」と問われた堤は、「僕にとってというより、撮影に関わった人たちにとって、代表作という言い方はすごくちゃちくてイヤなんですけど、作品を見てきっと何か自分の中に大きな存在として残る作品になったと思います。奇跡みたいなことをやってたなと思ってるんで本当に役者として宝物になりました」と感謝の言葉を述べ、拍手喝采の中、舞台は幕を下ろした。

『孤高のメス』は全国東映の映画館にて公開中。

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2010/06/07 0:50

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