The Blind Side
2009/アメリカ/ワーナー・ブラザース映画
出演:サンドラ・ブロック ティム・マッグロウ クィントン・アーロン キャシー・ベイツ リリー・コリンズ ジェイ・ヘッド レイ・マッキノン
監督:ジョン・リー・ハンコック
http://www.kakurebasho.jp
原作が読みたくなった映画 [90点] [参考:1]
このレビューはネタバレを含みます
ホームレス状態の貧しい黒人の少年が、アメフトのプロ選手になった小説「ブラインド・サイド」の映画化。
一番感銘を受けたのは、この作品が何よりも実話だということ。
一体、どうやって貧しい黒人の少年が、裕福な白人の家族の仲間になれたのか?
マイケルという少年は童話の「はなのすきなうし」のような少年だ。
身体はとてつもなくデカイが、心はとても繊細で優しく、そして現実の悪に染まっていない。
母親はコカイン中毒、父親は自殺、兄弟13人はバラバラと悲惨な環境。
同じ貧民街に住んでいる少年・青年達が、麻薬や暴力と自堕落な生活を送っていても、マイケルは彼らとは別世界にいるかのように、ひっそりとたたずんでいるように見えた。
外見や年齢とは違って、ある意味とても思慮深いのかもしれない。
州から離されてすさんだ生活を送っている母親を慕っており、家族への保護本能がとても強い。
そんなマイケルの性質が彼を幸福へ幸福へと導いていったように思う。
映画自体は、淡々と描かれていて、大きな展開はほとんどない。
お涙頂戴でもなく、全体的にとてもハートフルな家族愛の温かい作品に仕上がっている。
そしてこの映画に説得力があるのは、今現在もこの家族は現在進行中!という事だ。
映画ではマイケル・オアーがホームレス状態からテューイ一家に助けられ、衣食住を提供されて、テューイの家族の一員となり、ミシシッピ大学に入るまでを描いている
今、マイケル・オアーは大学を卒業し、2009年にNFLのボルティモア・レイブンズに指名されてNFLで活躍中。
つい最近までの現実を映画化している所がすごく新鮮さを感じた。
映画では、白人の裕福な家族、特に妻のリー・アンとマイケルの交流が中心軸になっている。
リー・アン役にサンドラ・ブロックがこの役にぴったりだった。
気が強いが、慈愛に満ちており、行動力はばつぐんで、とても明るい妻。
他人の子供でも放っておかない正義感と優しさとユーモアを兼ね備えたリー・アン。
こういう女性がもっとたくさんいたら、きっと世界は変わるだろうと思う。
実際のリー・アンもとても綺麗で魅力的な人のようだ。
面白いことにサンドラ・ブロックの着ていた衣装は実際、リー・アンが着ていた服だそう。
ラスト、映画のエンド・ロールに本当の彼らの写真が出てくるが、これがまたいい。
リー・アン以外も父親役、娘役(なんとフィル・コリンズの娘さん!)息子も写真と比較するとまさに、この映画の家族と現実の家族が同じように見えてくるのが凄い。
「あ~本当にこんな素敵な家族がいたんだ!」って二度感銘を受ける。
2時間以上の長い映画だったけど、この温かい家族の風景をずっとずっと見ていたい。
「真実は小説より奇なり」とはまさにこういうことなのだろうな。
2010/03/04 20:00