グラン・トリノ
Gran Torino
2008/アメリカ/ワーナー・ブラザース映画/117分
出演:クリント・イーストウッド ビー・ヴァン アーニー・ハー クリストファー・カーレイ ジョン・キャロル・リンチ ブライアン・ヘイリー ブライアン・ハウ ウィリアム・ヒル
監督:クリント・イーストウッド
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/
感動しました [80点]
映画館へは行けなかったので、待ちわびたDVDにて鑑賞しました。
内容はいつもながらイーストウッドらしさが、垣間見えてとても良かったのですが、複雑な気持ちでした。
実は、私の父親もウォルト同様、数年前につれあい(私の母)をガンで亡くし、今は実家で一人暮らしをしており、年を追うごとにガンコになったり、また、母親の生前には見えなかった優しさの部分が見えたりして、また、イーストウッドと年が近いせいもあり、ウォルトが私の父にダブってしまいました。
年末にこの映画をみて、正月に帰省したのですが、毎年年老いて行く父親を見て、もう少し優しく接してあげないといけないと思いました。
2010/01/04 13:22
4661
クリントかっこいいぜ! [99点] [参考:1]
※ネタバレを含むレビューです。
いい映画だぁ。いやー、かっこよかった。そうきたかクリント。しびれたぜ!強く生きる勇気をもらったぜ!
僕の一番好きな俳優は以前からクリント・イーストウッドですが、これを見てそれに輪を掛けてますます好きになりました。普通役者って、年を取ってくると魅力が落ちていくわけですが、クリントの場合は年を取るごとにかっこよくなっていく感じがするんですよね。理想的な年の取り方というか。老人が主人公の映画とかを見ると「年は取りたくないもんだ」と、そんなことを思ってしまうのですが、クリントを見ていると希望を感じるんですよね。このレビューを書いている時点ではまだ僕は30前半ですけど、それでも僕は毎年体が老いていくのを実感しているくらいなんです。そうなると10年20年先がどのくらい体にガタがきてるのか想像できないんですよね。でもこのクリントは背筋もしゃきっととしていて、チンピラどもをだまらせてしまう。なんてかっこいいんだと、その姿に惚れ惚れしてしまうわけです。
偏屈ジジイの役で、よくぶつぶつ言ってるんですが、このぼやきがユーモラスで面白いです。まったくクリントって人はどの映画でもまったく同じ役しかできないんだなあと、嬉しくなりました。ケーリー・グラント、トム・ハンクス、クリント・イーストウッド。ずっとひとつの役を貫き通しているところに美学を感じます。今後もクリントの主演映画はできると思いますが、もしこれが最後になったとしたら、それは最後に相応しい演技だったと言えるかもしれません。
隣の少年を煙たがりながらも、趣味などで意気投合し、いつしか息子以上に可愛がるようになります。少年に男を磨かせようと、可愛い女の子をデートに誘わせるところなど、微笑ましいですね。一番良かったシーンは、「デートにバスで行くだと? もっとかっこいい車で行け。そうだな。俺のグラントリノに乗っていけ」と言うシーン。そのときのクリントの顔がまたいいんだわ。
グラントリノがもうかっこよくて。車にはその人の思い出も詰まっているんです。僕も初めて車を手にしたときには男が上がった気になったっけなあ。これで女の子にもてるぞと、そんなことを妄想したことを思い出しました。
2009/12/11 04:04
シネマガ管理人
グラン・トリノって車の名前だったのね [79点] [参考:1]
『チェンジリング』があまりにも素晴らしかったので
『グラン・トリノ』も絶対に映画館で観よう
と、予告を観ながら決心した。
完成度でいうと『チェンジリング』のほうが上に感じた。
内容は他の方が丁寧に語ってくれているので触れない。
非常に個人的なことなんだけど
イーストウッド演じるクソ頑固オヤジウォルトが
自分の父親に非常によく似ているもんで、
「うちの父親ももう家族との交流は期待できないんだから
タオみたいな若モンと付き合ったらいいんではないか」
などということを考えながら、独特の感慨を持って観ていた。
さて、どこで観たのか何で観たのかわかんないのだけれど
あのラストのシーン、何かで似たようなものを
絶対に観たことがある気がするんだが、なんだったか…。
なので、こう意外な驚きとかは特にないんだけど
でもあのラストにはジンとさせられる。
でも一個だけ、どーしても?なシーンがあって
雨の中タオが、ウォルトに支持された
向かいの家の修繕をするシーンがあるんだけど
『なんか違和感…』と思って観ていたら
それを見つめるウォルトのバックにあるガラス窓(?)
に映る空が、思いっきり『青空』なのだ…。
白い雲、青い空、なのだ。
『え? お天気雨か?』
『時系列バラバラにしてあるのかな?』
と思ったんだけど、どーもそういう雰囲気ではなかった。
そこがすんごい気になってしまった。
イーストウッド、わざとか?
2009/06/04 21:00
cathy
とてもピッタリなタイトル [88点] [参考:1]
クリント・イーストウッドが監督・主演の映画です。
2月に観た「チェンジリング」も良い映画でしたが、この作品は更に良かったです。
舞台はミシガン州という工業地帯の田舎町です。
州の名前よりもデトロイトシティの方が有名ですね。
自動車産業で成り立っている地域なので、現在はあまり良い環境では無いと思われます。
カナダと国境を接する北部なので、人口比率は圧倒的に白人社会です。
そんな社会背景も重要な点になっています。
私が以前住んでいたヒューストンは南部だったので、黒人やメキシコ人などのヒスパニック系が多く、同じアメリカでも北部とは社会環境が違っています。
タイトルの「グラン・トリノ」とは1970年代のフォード社の車の名前です。
この車が、上手く使われていて、とてもピッタリなタイトルになっています。
朝鮮戦争退役後、地元の自動車工場で働いていたコワルスキー(クリント・イーストウッド)は、妻に先立たれ、子供達から疎まれて、一人暮らしをしています。
いつの間にか周辺は、アジア系の移民が住む地域になっています。
隣に引っ越して来たモン族一家のタオ少年が悪ガキ達の命令でコワルスキーの愛車「グラン・トリノ」を盗もうとした事から、この一家との付き合いが始まります。
とても魅力的だったのが、タオの姉スー(アーニー・ハー)でした。
弟のタオとコワルスキーの間に生まれる友情をテーマにしている宣伝が多いのですが、姉スーとコワルスキーの関係が、とても素敵でした。
重苦しい映画なのかと思っていたら、意外と笑わせてくれるシーンが多く、とても楽しめました。
終盤に起こる出来事で、思わぬクライマックスになってしまいますが、エンディングに明るさを取り戻しているのも良かったですね。
最近つまらないアメリカ映画が多い中で、この映画は貴重です。
何故アカデミー賞にノミネートもされていなかったのか不思議です。
2009/05/23 23:44
freda
男の美学 [75点] [参考:1]
評判があまりにもいいので、映画館で見た。
確かに、老いてもいぶし銀のイーストウッドのかっこよさは健在で、かっこいいこと。
とくに凄みをきかせてタバコを吸うシーンのあのイカツイ姿は見ていて惚れ惚れした。
ウォルトが愛するピカピカの車、グラン・トリノもかっこいい。
老いた犬を可愛がり、古い慣習にコネツしたガンコじいさん役を見事に演じていた。
ただ、辛いことをいうと、私個人の好みとしてはこの映画はあまり好きではない。
もちろん、良い作品には間違いないけど。
初めから最後まであきさせないストーリーだし、タオとウォルトの心が通いあっていく過程もよかった。
ところどころで笑いもある。
それでも、私は気持よく映画館を出れなかった。
多分、イーストウッドの好む“男の美学”を追求する余り、相対する女性を、あまりにも惨い仕打ちで映像に現すからだろう。
女性から見るとレイプされたスーのあの痛々しい、血だらけの殴られた顔、腕、足はもう、恐ろしい。
泣き叫んで抵抗して複数の男たちにいたぶられたであろう、ひどい姿は、同性としてゾッとしてしまう。
これだけで生理的な嫌悪感が走った。
いつも思うに、洋画ではレイプを簡単に表現するけど、あれほど忌まわしいシーンはない。
イーストウッドはどこか「ミリオン・ダラー・ベイビー」の時も思ったが、女性に対して辛らつな映像を見せる。
主人公の女性がボクシングによって痛々しい悲惨な姿になった姿もみていてつらかったなぁ。
彼女らの姿に反して、ウォルトの死に様は私にはかっこよく見えた。
男は自らの死に場所を選んで、いさぎよく散っていく。
男はそれでいい。
だけど女は?
多分、私がイーストウッドの作品に共感できないのは、そういう所なのかもしれない。
2009/05/21 21:57 (2009/05/22 21:33修正)
ちりつも
72年型グラントリノ [80点]
思っていたより平凡な印象はありましたが
家族愛、人生の意味するもの 考えさせられました。
頑固で偏屈な老人と将来に迷う内気な少年
二人を取り巻く家族
遠い親戚より近くの他人 結局そうなんですね。
最後は残念でしたがユーモアもあり暖かい映画でした。
2009/05/17 19:42
merrythought
これが最後の出演作とは言わせない [90点]
巷ではクリント・イーストウッド最後の出演作と言われている本作であるが、またもや素晴らしい作品を生み出してくれた。
この作品で彼が演じるウォルト・コワルスキーは決していい人間ではない。
朝鮮戦争に従軍したアメリカ至上主義の愛国主義者であり口の悪い人種差別者である。
家族からも疎まれ近所との付き合いもなく1人暮らしをしている偏屈な頑固じじいである。
彼が最も大事にしているのは古きよき時代のアメ車「グラン・トリノ」
元自動車工の彼の手にかかれば古い車が今も現役バリバリで走ることができ、まるでウォルト自身を象徴しているようである。
この愛車を隣に住むラオスからの移民であるモン族の少年タオが悪い仲間に命じられて盗もうとしたことから物語は思わぬ方向へ動いていく。
誰にも心を開かなかったウォルトだが、タオやその姉スー、そしてタオの家族との交流が始まったことによって彼の中の何かが変わっていくのだ。
タオを悪い仲間に引きずり込もうとする奴らの手がタオの家族に及んだ時、ウォルトの熱く静かな戦いが始まる。
物語としては重いテーマであるはずなのだが、ストーリーがよどみなく進むためか偏屈じじいの悪態さえ不思議とコミカルに感じられる。
特にウォルトの亡くなった妻から頼まれ、彼を教会に来させようとする神父に対する悪態は妙に的を射ているところが笑えるばかりか、やがて神父が次第にウォルトに感化されていく姿が楽しくもある。
この映画は死に方を見つけようとするウォルトと生き方を見つけようとするタオの映画であるとともに神父の成長をも描いた作品でもある。
そのためウォルトがある決断をした時、初めて神父のもとを訪れ最初で最後の懺悔をする場面が活きている。
ウォルトの決断をよしとするかどうかはこの作品を観る人によって様々であろう。
ウォルトに老いたハリー・キャラハンのイメージをダブらせていると納得のいかない人も多いかも知れない。
それ以前に映画に出てくるウォルトの孫と同じ世代で鼻やへそにビアスをしている若者にはこの作品自体がうっとおしく感じるかも知れない。
それでも頑固なまでの男の生きざまを観せてくれる本作のクリント・イーストウッドはカッコいいのである。
もうすぐ79歳の御大であるが、これが最後の出演作とは言わせない。
森光子さんよりまだ10歳も若い御大にはアカデミー賞で主演男優賞を受賞するまで現役の俳優としても活躍してもらいたいのだ。
2009/05/12 20:01 (2010/03/28 20:54修正)
kira
選択 [85点]
※ネタバレを含むレビューです。
クリント・イーストウッド映画って敬遠してたところがあったんですけど、これを見て他の作品も見ようと思いました。
イーストウッドが最後に選択した手段に涙しました。
2009/05/07 21:17
スライム
最期への向い方 [80点]
※ネタバレを含むレビューです。
イーストウッド監督の最期への覚悟みないたものを感じました。
人生の終末を迎えて、ただ一人孤独を抱えて消え去るのではなく、大切な人たちに何かを残していく。
今回もカッコいいクリント・イーストウッドを見ることができたと思います。
2009/05/06 23:01
jake
人生の重み [90点]
前作『チェンジリング』では衝撃的なインパクトのある感動をアンジーとともに与えてくれたクリント・イーストウッド。この映画のテーマである「人生の始め方と終わり方」を軸に、
残酷な過去、今でも世界各地で実際にある人種差別、部族間の暴動など、重苦い、暗い現実の世の中を
ここまで鮮明に描いている作品は、他にはなかなかないと思います。
この作品はインパクトの度合いでは『チェンジリング』ほどではありません。しかし極上の人間ドラマがそこにはあります。そしてそのドラマはクリント・イーストウッド自身のドラマでもありました。彼の人生の集大成ともいえる作品、懸ける想いは確かに受け取りました人生において大切な事を沢山教えてくれる映画です。とてつもなく深い人種の違いに関わらず、人間愛が溢れていました。血のつながった身内ではなく、隣人への愛。この映画は観終わった後に、私たちの心に柔らかい感動を残してくれることでしょう。さらにその感動は、しばらく消えることはないと思います。
2009/04/22 12:31
こっこ
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