主人公はカナダ人、人気者はアジア人、監督はフランス人。アメリカ人に嫌われた? 『グリーン・ホーネット』日本上陸

『グリーン・ホーネット』

1月20日(木)六本木ヒルズ・アリーナにて、『グリーン・ホーネット』のジャパンプレミアが行われ、ミシェル・ゴンドリー監督(47)と、主演のセス・ローゲン(28)、ジェイ・チョウ(32)が映画にちなんだ緑色のカーペットを歩いた。

『グリーン・ホーネット』は、かつて無名時代のブルース・リーが出演し、彼の出世作となったテレビシリーズを映画化したもの。ブルース・リーが演じたカトー役をアジア芸能界のトップスターであるジェイ・チョウが演じている。

六本木ヒルズ・アリーナには1200人のファンが集まったが、そのほとんどは若い女性ファンばかり。もちろん、そのお目当てはジェイ・チョウだ。あちらこちらで「Jay」と光る手作りの電飾プラカードを掲げるファンの姿も目立った。アリーナにリムジンが到着し、ジェイ・チョウが登場すると、アリーナはものすごい黄色い歓声に包まれ「ジエルン(台湾名)」コールが起こった。ジェイは手を振って歓声に応え、「来てくれてありがとう。嬉しいです。映画を楽しんでね」と流暢な日本語で挨拶した。

『グリーン・ホーネット』の主人公ブリット・リード役を演じるのはセス・ローゲン。『40歳の童貞男』、『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』、『恋するポルノ♡グラフィティ』などで知られる北米で今もっとも人気のあるコメディアンのひとりである。『スーパーバッド 童貞ウォーズ』では脚本家・製作者としても実力を発揮しており、『グリーン・ホーネット』では自ら台本を書き、製作に関わっている。

いつも鼻つまみ者の役が多いセスだが、本作ではダメ社長の役を好演している。しかし、ファンに「Thank You.」と言いながらサインをしている姿を見ていると、セスはなかなかのイケメンだ。声量が大きく、声優としても『モンスターVSエイリアン』などで活躍。遠くでサインをしているときも喋っている声を聞き取ることができたほど。とくに「がへへへ〜!」というどこにいてもその声で彼とわかる豪快な笑いっぷりといったら特筆ものだ。

監督はミシェル・ゴンドリー。『エターナル・サンシャイン』、『僕らのミライへ逆回転』などなど、どこか他の監督とはちょっと一癖違うスタイルを持っていて、プロの映画監督の中にもゴンドリーファンを公言する者も少なくない。本作はそのゴンドリー監督が初めて手がける爆発たっぷり3Dアクション映画ということで、コアな映画ファンからもかなり注目されているところだ。

この監督、ちょっとお茶目な性格で、ステージに立つなり、ヨチヨチ歩きしながら「服がきつくて歩けないよ。なぜなら、この服はジェイに借りた服だから。象が鳥の服を着ているみたいだろ」といきなり冗談をいって盛り上げてくれた。

この映画、アジアでのマーケットを大事にしており、この前日には3人はお隣韓国で会見をやったばかり。韓国ではポン・ジュノを褒めたゴンドリーだが、日本に来ても「僕は日本が大好きなんだ。昔東京についての映画を作ったこともあるんだけど、覚えてるかな?」とリップサービスを忘れなかった。

去年最も多くの映画スターを日本に招き、去年最も多くのジャパンプレミアを行ったソニー。今年も1月からこうしてジャパンプレミアで映画界を活気づけて突っ走ってくれそう。この日はソニーのCMでも有名な篠原涼子(37)が応援ゲストとして駆けつけた。ジェイ・チョウと篠原効果もあって、話題が話題を呼んで100社以上のマスコミが取材に入る盛況ぶりで、取材陣の中にはお笑い芸人のスリムクラブの姿も見られた。

篠原は、映画を見て「涙が出るほど笑いました。すごい面白かったです。キャメロン・ディアスが大好きで毎回出てる作品を見てますが、チャーミングで素敵なので女優として勉強になりました」と絶賛していた。

ゴンドリー監督は篠原を見て「そうだね」と言うところで声がうわずってしまう。「あまりにも美しい方なので、声がうわずってしまったよ。僕はあまり役者を外見では判断しないんだけど(横から「だから僕が選ばれたんだよね」とセス)、あなたには僕のすべての映画に出ていただきたい」とべた褒めだ。さらに「フランスのヌーベルバーグの女優を彷彿させる」とのお言葉まで。ここでアンナ・カリーナの名前を思い出した映画ファンは多かったと思うが、意外にもアヌーク・エーメの名前を連呼していた。監督にとっては『男と女』のクロード・ルルーシュはヌーベルバーグの範ちゅうなのだろう。言われてみればアヌーク・エーメと篠原涼子は確かに似てるし、これは発見かも。ゴンドリーもフランス人であり、かなりフランス語訛りの強い英語を喋る人だが、篠原はフランス人のゴンドリーに認められて「お上手ですね。ありがとうございます。今夜は眠れません」と興奮しきりだった。

グリーン・ホーネット』は、ソニー・ピクチャーズ配給で、現在全国公開中。(文・澤田英繁)

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2011/01/23 23:58

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