日本のモデルたちがゴージャスに赤絨毯をかっ歩『NINE』ジャパンプレミア
舞台でクラウディアを演じた日本の歌姫MIEも登場
3月17日(水)、有楽町マリオンにて、『NINE』のジャパンプレミアが行われた。
『NINE』は、イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの自伝的映画『8 1/2』を題材にミュージカル化したもの。1982年にラウル・ジュリア主演で上演され、トニー賞最優秀作品賞を受賞。2003年にはアントニオ・バンデラス主演でリバイバル上演され、これもトニー賞のリバイバルミュージカル作品賞を受賞した。ミュージカルファンがずっと待ちに待ったこの傑作が、ついに映画になった。
映画版で主人公グイドを演じるのはアカデミー賞に2度輝くダニエル・デイ・ルイス。アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『シカゴ』のロブ・マーシャル監督がメガホンを取った。マーシャルは、恐らく今日の映画界で最もミュージカルに精通した監督であり、彼が監督しているというだけでも期待値は高まるもの。この他、製作、撮影、脚本、美術、編集、衣装、メイクアップもアカデミー賞を過去に受賞した経験のある人物が担当しており、まるでアカデミー賞の同窓会の様相を呈している。
キャストは、よくぞこれだけ集まったと脱帽させられる。妻役はマリオン・コティヤール、愛人役はペネロペ・クルス、花形女優クラウディア役は二コール・キッドマン、衣装デザイナー役はジュディ・デンチ、そして母親役に何と大女優のソフィア・ローレン。以上の全員が過去にアカデミー賞を受賞した経験がある。映画ファンなら名前をずらりと並べただけで興奮してしまう。この他に、グラミー賞を受賞したブラック・アイド・ピーズのファーギーがいかにもフェリーニ映画に出て来そうな迫力のある娼婦役を演じて話題になった。
せめてジャパンプレミアに一人でも出演スターが参加して欲しかったものだが、皆売れっ子なので予定的にも金銭的にも難しかったのか実現できず。その代わり、劇中で出演女優たちが身につけていた衣装とジュエリーが展示され、本作を楽しみにしていたというファッションモデル、デザイナー、女優たちがレッドカーペットに登場してイベントを盛り上げた。
こういうプレミアには著名人はせいぜい集まっても10人くらいが関の山だが、今回はなんと35人が出席。しかもその顔ぶれは美女・美女・美女。マスコミカメラマンが鼻息荒くローアングルで喰らいつくような綺麗系ばかり。目線の奪い合いも熾烈を極めた。細川俊之(69)、純名里沙(39)、MIE(52)ら、日本の舞台版『NINE』ゆかりの人たちも参加した。
次々とファッション・モデルが美しいドレス姿で登場する様は、まるでファッション・ショーを見ているよう。美女たちに囲まれて登場した弁護士の八代英輝(45)は「こんな経験はもう一生ないでしょう」とニンマリ。この日一番の大物ゲスト・桃井かおり(58)は、ロブ・マーシャル監督の『SAYURI』にも出ているが、「ロブは次回作では私に踊ってもらうって話していたから、私はてっきり『NINE』に出してくれるのかと思ってたのに違ったのね。今日ロブに電話で問い詰めて高い食事を御馳走してもらおうと思います」と話していた。
クライマックスではミス・ユニバース・ジャパン代表の板井麻衣子(25)が二コール・キッドマンの着けていた金額換算不可能特注ジュエリーを着用して登場。前年代表の宮坂絵美里(25)とレッドカーペットをかっ歩する様は何ともゴージャス! その美しさには思わず溜め息。日本の著名人だけで、これだけ華やかに盛り上げた角川・松竹スタッフの努力には拍手を贈りたい。
映画『NINE』の最大の見どころは、やはり主役男1人に対し、他の共演者が全て女というこの異様な構図。女優各自それぞれが主役となる持ち歌を1曲ずつ披露していく形で話が進められて行くが、ストーリーは観念的で、あってなきようなもの。個々の歌に酔いしれつつ、人間の本質が心にじわじわと染み込んで来る感じ。出色はケイト・ハドソンが歌い踊る「Cinema Italiano」。映画版のオリジナルソングのひとつで、マーシャルが映画人としての意地を見せた。3月19日から全国公開中。(文・澤田英繁)
2010/03/21 9:39