ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


2008/日本/東宝/128分
出演:福山雅治 柴咲コウ 北村一輝 松雪泰子 堤真一 ダンカン 長塚圭史 金澤美穂 益岡徹 林泰文 渡辺いっけい 品川祐 真矢みき 
監督:西谷弘
http://yougisha-x.com/

偏差値:61.5 レビューを書く

石神という孤独な男 [88点] [参考:2]

このレビューはネタバレを含みます

(ネタバレしちゃうので見た方のみ、読んでください。)
テレビドラマ化された東野圭吾の「探偵ガリレオ」シリーズのミステリー小説をを映画化。
主人公のガリレオこと天才物理学者湯川役を福山雅治、彼とコンビを組む新人刑事役の柴咲コウ、テレビドラマ版のスタッフ・キャストが集結。

映画の方はコミカルな軽めの内容ではなかった。
私は、こういう先に犯人が判っていて、刑事が(ここでは物理学者の湯川だが)追い詰めていくっていう話は、余り好きではない。
特に犯人が善良で、殺された方が悪人だとなおさら。
今回のような、ホステスから足を洗って、小さな弁当屋を出し、娘と2人でささやかな幸せを築いていた花岡靖子(松雪泰子)。
別れた凶暴なヤクザな夫を誤って殺してしまったが、一種、正当防衛では?って思うほど、薄不幸な犯人である。

その親子を人生の糧としてひっそりと見守り続けていた石神。
彼の天才数学者としての頭脳的な計画、だがもう、それは常人ではなく異常ともいえる計画。

だが石神にとって、この母と娘を助けるためなら、どんなことでも平気でしただろう。自分の身を犠牲にすることなんてなんとも思わない。それほど石神は人生に絶望している男だ。一体、それまでの石神の人生に何が起きてこうなってしまったのだろうか?

石神が自首した後、湯川が花岡泰子に事の真相を告げなければ、石神のあの“泣きの絶叫”はなかっただろう。
ある意味、湯川のした事は、とても残酷だ。

それまで、石神のしてきた犯行計画が無駄になってしまう。
しかし、結果は湯川のした事は正しかった。
また真の石神の友人として当然の事をしたのだと思う。

たとえ花岡親子が石神のおかげで、法に裁かれなかったとしても、あのまま石神だけに自分達の犯した過ちを償ってしまわせたら、一生、花岡親子の人生に、2人の心に枷となり苦しみ続けることになる。
また石神自身にもだ。

石神は花岡親子を救う為に、別の殺人を起こす。
殺されたのは石神が、朝いつも通る道のベンチで座っている浮浪者。
男はなんにも罪のない人間。

石神にとって、浮浪者を殺すことに何のためらいもなかったのだろうか?
浮浪者だって、もしかしたら家族や愛する人がいたかもしれない。
石神と花岡親子だけを中心に見れば、このドラマは自身を犠牲にした泣ける愛だが、それはやはり自己中心的な愛。
他者を犠牲にしていいものはない。
本当に石神は哀れな悲しい愛を私にみせた。

孤独な石神役を演じた堤真一は本当に素晴らしかった。
福山ファンには悪いが、今回、主役はかすんでしまったようだ。

2009/03/16 21:52

ちりつも

参考になりましたか?

この映画のレビューをまとめて表示する

福山雅治が手を痛めた『容疑者Xの献身』舞台挨拶

福山雅治が手を痛めた『容疑者Xの献身』舞台挨拶

10月4日(土)有楽町。『容疑者Xの献身』の公開初日に、福山雅治、柴咲コウ、松雪泰子、堤真一、金澤美穂を迎えて舞台挨拶が行われた。