2008/日本/東宝/128分
出演:福山雅治 柴咲コウ 北村一輝 松雪泰子 堤真一 ダンカン 長塚圭史 金澤美穂 益岡徹 林泰文 渡辺いっけい 品川祐 真矢みき
監督:西谷弘
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天才数学者の純愛 [85点] [参考:2]
TVシリーズは一応全話見ているが派手な演出はめだつがそれほど好きな作品ではなく、特に謎を解くときに突然数式を書き出す描写は海外ドラマ「ナンバーズ」のパクリであるとすら思っていた。
先日放送のあったTVスペシャルもこちらの意表をつくような話ではなく、さほど面白いとは思わなかった。
そのため今回の劇場版はあまり観たいとは思っていなかったが、カミさんが観たいと言うのでしぶしぶ劇場に足を運んだ。
ところがである、これがTV版とは違って、ガリレオと呼ばれる天才物理学者のかつての親友である天才数学者の切なく悲しい純愛に焦点を当てた作品となっており、いつのまにか画面に引き込まれている自分に驚いた。
TVでヒットした作品を映画化すると大画面であることを意識するためか派手な出来事や事件をテーマにすることがほとんど(踊る大捜査線、HERO、相棒等々)であり、何か違うような気がしていた。
しかし本作は、逆にTV版のような派手な演出はなく、殺人を犯した者とそれをかばおうとする者、そしてその事実に気づいた親友の苦悩が主題であり、上質のミステリーとなっている。
そういえば本作のタイトルは「ガリレオ劇場版」ではなく「容疑者Xの献身」であり、極力TVドラマの「ガリレオ」らしさを封印しており、そこからも単なるTVの映画化ではないことの製作者のこだわりを感じる。
そのためTV版のファンは物足りなさを感じるかも知れないし、ファンからは怒られるかもしれないが、本作の本当の主役は堤真一と松雪泰子であり、本来主役であるはずの福山雅治と柴崎コウが脇役に回ったことにより、より作品に深みが出たのではないかと思う。
本作を観る前と観た後で受け止め方が全く変わったものが2つある。
1つ目は4色問題のルール「隣同士が、同じ色になってはいけない。」が単なるルールではなく本作では天才数学者の切なく悲しい純愛の象徴であること。
2つ目はエンドロールで流れた柴崎コウの歌う「最愛」がTVの歌番組で聞いたときよりも悲しく美しく心にしみたことである。
2008/10/26 17:22 (2009/11/07 06:30修正)