容疑者Xの献身
2008/日本/東宝/128分
出演:福山雅治 柴咲コウ 北村一輝 松雪泰子 堤真一 ダンカン 長塚圭史 金澤美穂 益岡徹 林泰文 渡辺いっけい 品川祐 真矢みき
監督:西谷弘
http://yougisha-x.com/
偏差値:61.5 レビューを書く
堤の演技が冴えてます! [90点]
堤真一と松雪泰子を中心に、話しは進みます。
ドラマ「ガリレオ」と違い、重い主題のため、ドラマのコミカルさはありません。
しかし、それがかえって、原作の味を出していると思います。
私は、ドラマ版の福山と柴崎のコミカルな掛け合いやメロディーも好きですが、映画版はドラマと違う良さが出ていると思います。
ラストの真相は登場人物とともに、はっと息を飲んでしまうものです。
なお、福山と柴崎を脇役におくことによって、かえって「容疑者Xの献身」の原作ファンも楽しめる世界が広がっていると思います。
福山の親友を思う、抑えた演技も必見ですよ!
2009/12/30 21:35
nekomaneki
おもろしかなしかった。東野ブルー [90点]
面白いし、ストーリー展開も入りやすかった。
東野圭吾の作品は独特の人間の闇の部分が
うまく描かれていて好きです。
他の作品も面白い。特に「手紙」を観てほしい。
感動します。
2009/12/30 16:24 修正する
mutotu
石神という孤独な男 [88点] [参考:2]
※ネタバレを含むレビューです。
(ネタバレしちゃうので見た方のみ、読んでください。)
テレビドラマ化された東野圭吾の「探偵ガリレオ」シリーズのミステリー小説をを映画化。
主人公のガリレオこと天才物理学者湯川役を福山雅治、彼とコンビを組む新人刑事役の柴咲コウ、テレビドラマ版のスタッフ・キャストが集結。
映画の方はコミカルな軽めの内容ではなかった。
私は、こういう先に犯人が判っていて、刑事が(ここでは物理学者の湯川だが)追い詰めていくっていう話は、余り好きではない。
特に犯人が善良で、殺された方が悪人だとなおさら。
今回のような、ホステスから足を洗って、小さな弁当屋を出し、娘と2人でささやかな幸せを築いていた花岡靖子(松雪泰子)。
別れた凶暴なヤクザな夫を誤って殺してしまったが、一種、正当防衛では?って思うほど、薄不幸な犯人である。
その親子を人生の糧としてひっそりと見守り続けていた石神。
彼の天才数学者としての頭脳的な計画、だがもう、それは常人ではなく異常ともいえる計画。
だが石神にとって、この母と娘を助けるためなら、どんなことでも平気でしただろう。自分の身を犠牲にすることなんてなんとも思わない。それほど石神は人生に絶望している男だ。一体、それまでの石神の人生に何が起きてこうなってしまったのだろうか?
石神が自首した後、湯川が花岡泰子に事の真相を告げなければ、石神のあの“泣きの絶叫”はなかっただろう。
ある意味、湯川のした事は、とても残酷だ。
それまで、石神のしてきた犯行計画が無駄になってしまう。
しかし、結果は湯川のした事は正しかった。
また真の石神の友人として当然の事をしたのだと思う。
たとえ花岡親子が石神のおかげで、法に裁かれなかったとしても、あのまま石神だけに自分達の犯した過ちを償ってしまわせたら、一生、花岡親子の人生に、2人の心に枷となり苦しみ続けることになる。
また石神自身にもだ。
石神は花岡親子を救う為に、別の殺人を起こす。
殺されたのは石神が、朝いつも通る道のベンチで座っている浮浪者。
男はなんにも罪のない人間。
石神にとって、浮浪者を殺すことに何のためらいもなかったのだろうか?
浮浪者だって、もしかしたら家族や愛する人がいたかもしれない。
石神と花岡親子だけを中心に見れば、このドラマは自身を犠牲にした泣ける愛だが、それはやはり自己中心的な愛。
他者を犠牲にしていいものはない。
本当に石神は哀れな悲しい愛を私にみせた。
孤独な石神役を演じた堤真一は本当に素晴らしかった。
福山ファンには悪いが、今回、主役はかすんでしまったようだ。
2009/03/16 21:52
ちりつも
天才数学者の純愛 [85点] [参考:2]
TVシリーズは一応全話見ているが派手な演出はめだつがそれほど好きな作品ではなく、特に謎を解くときに突然数式を書き出す描写は海外ドラマ「ナンバーズ」のパクリであるとすら思っていた。
先日放送のあったTVスペシャルもこちらの意表をつくような話ではなく、さほど面白いとは思わなかった。
そのため今回の劇場版はあまり観たいとは思っていなかったが、カミさんが観たいと言うのでしぶしぶ劇場に足を運んだ。
ところがである、これがTV版とは違って、ガリレオと呼ばれる天才物理学者のかつての親友である天才数学者の切なく悲しい純愛に焦点を当てた作品となっており、いつのまにか画面に引き込まれている自分に驚いた。
TVでヒットした作品を映画化すると大画面であることを意識するためか派手な出来事や事件をテーマにすることがほとんど(踊る大捜査線、HERO、相棒等々)であり、何か違うような気がしていた。
しかし本作は、逆にTV版のような派手な演出はなく、殺人を犯した者とそれをかばおうとする者、そしてその事実に気づいた親友の苦悩が主題であり、上質のミステリーとなっている。
そういえば本作のタイトルは「ガリレオ劇場版」ではなく「容疑者Xの献身」であり、極力TVドラマの「ガリレオ」らしさを封印しており、そこからも単なるTVの映画化ではないことの製作者のこだわりを感じる。
そのためTV版のファンは物足りなさを感じるかも知れないし、ファンからは怒られるかもしれないが、本作の本当の主役は堤真一と松雪泰子であり、本来主役であるはずの福山雅治と柴崎コウが脇役に回ったことにより、より作品に深みが出たのではないかと思う。
本作を観る前と観た後で受け止め方が全く変わったものが2つある。
1つ目は4色問題のルール「隣同士が、同じ色になってはいけない。」が単なるルールではなく本作では天才数学者の切なく悲しい純愛の象徴であること。
2つ目はエンドロールで流れた柴崎コウの歌う「最愛」がTVの歌番組で聞いたときよりも悲しく美しく心にしみたことである。
2008/10/26 17:22 (2009/11/07 06:30修正)
kira
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