The King's Speech
2010/イギリス・オーストラリア/ギャガ
出演:コリン・ファース ジェフリー・ラッシュ ヘレナ・ボナム・カーター ガイ・ピアース ティモシー・スポール デレク・ジャコビ ジェニファー・イーリー マイケル・ガンボン
監督:トム・フーパー
http://kingsspeech.gaga.ne.jp/
王の吃音こそが国民の心をひとつに [85点] [参考:2]
このレビューはネタバレを含みます
現英国女王エリザベス2世の父親、ジョージ6世が、
こんな感動的な秘話の持ち主だったとは。
兄のデヴィッドは2回も離婚歴のある女性、シンプソン夫人との結婚を選び、
王位を捨てたことで、有名。
シンプソン夫人は、歴史上の悪女コレクションの本などに、名前を連ねられることもある。
そのスキャンダルの陰に隠れて、こんな感動的な人物が、イギリス王室にいたとは知らなかった。
王位を継承することは、
昔ならいざ知らず、現在では、名誉ではなく、不自由でストレスが多い。
できれば、避けて通りたい。
そんな本音が、登場人物のあちこちから聞こえた。
でも、王家があるなら、
それなりに国民が期待するイメージに応えなければ行けない。
だから、ジョージは左利きの矯正、エックス脚の矯正等々、幼少の頃からストレスの多い生活をしてきた。
吃音矯正家のライオネルは、
心理カウンセリングに重点を置いて、
吃音の矯正をしていく。
今では、おそらく、一般的な矯正法ではないかと思われるが、心理的なアプローチは、当時は理解されてなかったみたい。
矯正家ライオネルの手法は見事だけど、
妻の存在も大きい。
王位を継承することに不安で泣き崩れるジョージを
暖かく支える。まるで母親のよう。
ドイツとの戦争が始まるとき、
国民に向かってラジオで演説をするクライマックス。
演説の成功に、妻は、「すばらしかった。」とは言わなかった。「信じていたわよ。」と。
全国民が知っていたジョージの吃音。
おそらくその放送を聞く人は、「大丈夫?」と思いながら、耳を傾けていたに違いない。
そういう意味で、王の弱みである吃音は、国民の心を一つにし、演説が成功したことで、ジョージは、王としての信頼を得たはず。
弱さこそが、強さ。
2011/03/06 01:01