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The Last Airbender
2010/アメリカ/パラマウント ジャパン
出演:ノア・リンガー ニコラ・ペルツ デヴ・パテル ジェシカ・ジェード・アンドレス 
監督:M・ナイト・シャマラン
http://www.airbender.jp

偏差値:51.9 レビューを書く 解説

M・ナイト・シャマラン監督の新境地 [75点] [参考:3]

このレビューはネタバレを含みます

M・ナイト・シャマラン監督作品と言えば彼を一躍有名にした『シックス・センス』が挙げられるが、その衝撃があまりにも強すぎたため、その後の作品に対しても『シックス・センス』と同様の謎と緊張感とラストのどんでん返しを無意識のうちに求めてしまい、観終わった時に期待外れと感じることが多かった。

しかし本作はアメリカのアニメ『アバター 伝説の少年アン』が原作のため、いい意味でシャマラン監督らしくない作品に仕上がっている。

いわゆる正統派のファンタジーアクションアドベンチャー映画で、何も予備知識なしで観た人はシャマラン監督作品と気づかないのではないのかと思えるほどのオーソドックスな作り方であり、ようやく『シックス・センス』の呪縛から解き放たれたと思うのは考え過ぎだろうか。

映画の導入部から主要人物が次々と登場し、彼らが住む世界が足早に紹介されており、観客が登場人物や世界観を知っている前提で作られているところから考えると、アメリカでは誰もが知っている人気アニメなのだろう。

また、物語前半のテンポが速すぎるためこれまでの作品のような緊張感がないのが残念で、そんなに急いでストーリーを進めなくてもいいのに、と思いながら観ていたのだが、それでも映画は次回に続く形で終わったことから原作アニメはかなりの長編なのだと思われた。

驚いたのはポスターのデザインから主人公は謎めいた青年あるいは老人だとばかり思っていたのだが、意外やクリクリ頭の小坊で、彼と旅をする二人の兄妹も予想以上に若かったことである。

この小坊がカンフーのような技で敵と闘うのも予想外で、まるで香港のカンフー映画を観ているような錯覚を起こし、そのうち彼の師匠役でジャッキー・チェンが出てくるのではないかといらぬことを考えてしまった。

ハリウッド映画でありながら登場人物にはインドや東洋系の人が多く、悪役である火の国の民をインド系の俳優が演じているのは自身がインド系であるシャマラン監督の遊び心なのだろか。

この火の国の王子に扮しているのが昨年『スラムドッグ$ミリオネア』での演技が光ったデヴ・パテルで、父親に認めてもらうために悪になろうとしている彼が、このまま父親の期待にそうのか、それとも主人公たちと心を通わせるのかで今後の物語が大きく動くため次回作が楽しみである。

また、王子と行動をともにしている伯父は火の国の民でありながら義の心を持った人物であり、次回作での彼の行動からも目が離せない。

本作で気になった点があるとすれば『氣、水、土、火』の4つ力(エレメント)を操る民が登場するのだが、『水、土、火』はいいとしても、主人公の操る『氣』が『空気(劇中でもAirと言っていた)』であったことである。

勝手な思い込みかも知れないが『氣』=『思念、エネルギー』と考えていたため本作の『氣』=『空気』とわかった時にはちょっと拍子抜けがしてしまった。

空気を意味する一文字の漢字が見つからなかったのか、それとも『ドラゴンボール』の『気』にあやかろうとしたのかは定かでないが、ここは『風』あたりが良かったのではないだろうか。

鑑賞したのは3Dの超日本語吹替版…ではなく2Dの字幕版であったが、シャマラン監督らしくない正統派のファンタジーアクションアドベンチャー映画は夏休みに家族で観るのには打ってつけの作品である。

しかしあのトトロとネコバスを足したような空を飛ぶ巨大な生き物の可愛いんだか可愛くないんだかわからないデッカイ顔は再考の余地ありですな(笑)

2010/07/21 20:41

kira

参考になりましたか?

kiraさん、こんばんわ。

姫路で観られたんですね。僕は西宮ガーデンズで観ましたよ。3Dでもやってるそうですが、ほとんど効果がないみたいで2Dで観て正解でしょう。
しかしなんでマイカル加古川はやらないんでしょうね。不思議でしょうがないです。

はは、確かにジャッキー・チェンが師匠で出てきそうでしたね。違う映画だって分かってても(笑)

続編も期待してよさそうですね。

tochiro (10/07/21 21:01)

コメントありがとうございます。
西宮ガーデンズの超日本語吹替え版を観たかったのですが、姫路に行く倍の時間がかかるので諦めました。

何でマイカル加古川では上映しないんでしょうね。予告編はやってたのに不思議です。
マイカルのホームページを見ても他のマイカルでも上映しているところは少ないようです。

第二章が楽しみですが、次回作はマイカル加古川で超日本語吹替え版を上映してもらいたいですね。

kira (10/07/22 18:54)

僕も次作あたりで師匠役でジャッキー・チェンが出てくるような気がしました。
これって第一章水って感じだったので後2本は作られそうですね。
「気」というのは僕も違うと思いました。

シネマガ管理人 (10/08/05 10:27)

土の民は脇役っぽいので次は『火の章』で最後が『気の章』の2本が作られるような気がします(笑)

3D版はあまり効果がないようですね。観客が3Dに慣れて目新しさがなくなると、これからの3D版はよほど効果的に作らないと難しいかも知れませんね。

kira (10/08/05 18:45)

僕は「土」、「火」で終わりだと思います。理由は自分が「気」ですでに習得しているし、ラスボスは「火」の王でしょうからね。

3D効果は作品にもよると思います。前提として3Dを楽しむべくして作られたものなら面白いですよ。

シネマガ管理人 (10/08/07 04:14)

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