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2009/日本/東宝
出演:堺雅人 竹内結子 吉岡秀隆 劇団ひとり 貫地谷しほり 渋川清彦 永島敏行 ベンガル 相武紗季 木内みどり 大森南朋 ソニン 濱田岳 柄本明 香川照之 伊東四朗 
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
音楽:斉藤和義
http://www.golden-slumber.jp/

偏差値:59.3 レビューを書く

クールだねぇ、ロックだねぇ [78点] [参考:2]

このレビューはネタバレを含みます

おそらく今一番その作品が映画化されているであろう人気作家、伊坂幸太郎の小説の最新映画化作品であるが、残念ながら原作は未読である。

タイトルの『ゴールデンスランバー』はビートルズの歌なのだそうだが、何しろビートルズは超有名な歌しか知らないバチ当たりなので本作で初めてこの歌を耳にした。うん、なかなかいい歌である。

『ゴールデンスランバー』とは『黄金のまどろみ』のことであると劇中で語られるが、映画は『まどろみ』どころか何者かの陰謀で首相暗殺の罪を着せられた主人公・青柳(堺雅人)がまどろむ暇もなくひたすら逃げるコメディ&サスペンスになっている。

サスペンスといっても胃が痛むようなドキドキ感はなく、コメディ半分、謎が半分といった感じで、訳も分からずただ逃げ惑う主人公が面白可笑しくそして切なく描かれている。

青柳と彼を助ける大学時代のサークル仲間との大学生活が時折挿入されるが、なるほどそれが『まどろみ』の中で見る遠い昔の楽しき日々といった感じで、そういった経験のない者としては彼らの大学生活がとても羨ましく思えた。

いっそコメディ&サスペンスではなく彼らの大学時代と今の生活を交えながら、過ぎ去った日々と現実とのギャプに悩む人間ドラマにした方が観る者の心の琴線に触れるような名作になったかも知れない。

同じ原作者の『アヒルと鴨のコインロッカー』や『重力ビエロ』と比べると謎の部分が中途半端な印象で、特にやられっばなしが嫌いな者としては謎が謎のまま終わる結末には何とも納得がいかなかった。

ただ結末以外はとても面白く観ることができたので、原作どおりに映画化されたのならば仕方がないとは言え、もう少し誰もが納得できる終わり方にしてほしかったところである。

出演者はこのところ主演に助演にと大活躍の堺雅人を筆頭に旬の役者が出そろっていてそれぞれがいい味を出しているが、個人的には永島敏行のターミネーターもどきが気にいった。

本作では描かれなかった主人公のその後と明らかにならなかった謎が気になって仕方がないのだが、続編は出来ないのだろうか。

青柳の父親が言う『痴漢は死ね』の言葉どおり、続編を作って悪に対しては正義の鉄槌が下るような爽快な終わり方を観たいものである。

2010/02/19 00:22

kira

参考になりましたか?

私はコメディとは思いませんでしたけど、そういう取り方もあると痛感しました。私としてはあの結末はすごく気持ちが良かったですが、『フィッシュストーリー』(これもビートルズを知ってるとより楽しめます)の完成度が高すぎたので、こちらは微妙なところだったかもしれませんね。

Mr.マグルス (10/02/19 19:43)

Mr.マグルスさん
僕は結構笑えたんですよ。訳も分からず追い詰められた人間が見せる突拍子もない行動とか、それを助ける友人の作戦とか。で、これはコメディ色が強い作品だなと思いました。
結末の青柳と友人や家族とのやり取りは好きなのですが、悪者の正体とか末路が描かれてなかったのにはストレスを感じてしまいました。
『フィッシュストーリー』は未見なので、明日借りてきます(笑)

kira (10/02/19 20:33)

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ハリウッド映画張りのスケール!伊坂幸太郎原作『ゴールデンスランバー』今度はビートルズだ!

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2010年1月30日(土)、有楽町にて、『ゴールデンスランバー』の初日舞台挨拶が行われ、堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之、濱田岳、貫地谷しほり、中村義洋監督が登壇した。