The Curious Case of Benjamin Button
2008/アメリカ/ワーナー・ブラザース映画/167分
出演:ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット ティルダ・スウィントン タラジ・P・ヘンソン イライアス・コティーズ ジェイソン・フレミング ジュリア・オーモンド エル・ファニング ジャレッド・ハリス
監督:デヴィッド・フィンチャー
http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/
時の流れは変わっても人生は変わらない [85点] [参考:2]
上映時間は2時間47分とかなり長い作品である。
しかし数奇な人生を歩んだ1人の男の生涯を描くにはこのくらいの長さが必要なのかも知れない。
精神はそのままで肉体だけが他人と逆の人生を歩むベンジャミン・バトン。
心は少年なのに心とは裏腹に思いどおりに動かない手足がもどかしい。しかし順序は違ってもそれは誰もが歩む道である。
歳とともに誰もが子供に帰って行くと言うが、文字どおりベンジャミン・バトンはそのような人生を歩んでいる。
考えようによってはそれはある1点を除けば羨ましい人生かも知れない。
若さと情熱がある時は地位もお金もなく、ある程度それらが手に入った時には若さと情熱がなくなる。それが通常の人生である。
しかしベンジャミンはそれらを手に入れてからも肉体はますます若くなっていく。
だがどうしても叶えられないある1点。それは愛する人と同じように生まれ、同じように成長し、同じように老いることである。
ベンジャミンの人生の中で、愛する人と同じ年代でいられるのは僅か数年でしかない。それが観ていて切ない。
だからこそベンジャミンはその大切な数年を力一杯輝くように生きている。
デヴィッド・フィンチャー監督はそんなベンジャミンの人生を描くことによって、人が老いて行くことを嘆くのではなく、周りの人と同じように生まれ、育ち、老いて行くことに感謝しなさいと言いたかったのかも知れない。
またこの作品はストーリーだけではなく、少年の心を持ちながら老人の体を持つベンジャミンそして老人の心を持ちながら青年の体を持つベンジャミンの生涯を演じたブラッド・ピットの演技と、それを可能にした驚くべきメーキャップを楽しめる作品でもある。
2009/02/18 20:01 (2009/02/19 20:07修正)