Young@Heart
2007/イギリス/ピックス/108分
監督:スティーヴン・ウォーカー
http://youngatheart.jp/
歌う喜び、老いる怖さ [85点]
このレビューはネタバレを含みます
平均年齢80才の爺さんと婆さんのグループがロックを歌うドキュメンタリー映画と聞き、楽しくて元気をもらえる作品だろうとな思いながら映画館の椅子に座った。
刑務所の慰問やコンサートで観客の前で活き活きとロックを歌う老人達の姿からは確かに元気をもらえた。
しかし映画はそこに至るまでの練習場面から始まり、老いや病に苦しむ彼らの姿やコンサートを待たずに死んでいく仲間の姿をも真正面からとらえており、予想外に痛い作品でもあった。
最初から上手く歌える訳ではなく何日も練習を重ねるが老いからくる物忘れからか同じところを何度も間違え指揮者から容赦のない叱責が飛ぶ。
それでも老人達は好きな歌を歌っている間だけは自分の老いや病が忘れられるかのように練習を続ける。
ようやく上手くなってきたかと思うと病で休まざるをえない者が出てくる。
仲間たちはメンバーの回復を願いながら練習を続け、今回は持ち直して再び練習に参加する者もいれば、そのまま死んでいく者もいる。
老人達は一様に死ぬことは恐くないと言うが、本当にそうなのであろうか。
いつかは自分も彼らのように年老いていくのは仕方がないと思いつつも、その日が来るのが怖い私にはまだ彼らの言葉が理解出来ない。
それでも老人達の歌う姿には感動させられる。
これが最後のコンサートと決めて酸素吸入をしながら歌う爺さんの声が素晴らしくいい。
子供のようないたずらっぽい顔つきでワァーオと叫ぶ婆さん。
体力が続かないと言われながらもノリノリで最後まで歌いきった爺さん。
出来ることなら彼らのようにいい歳をとりたいものである。
2008/12/01 22:50 (2009/11/07 06:23修正)