2009/日本/20世紀フォックス映画/123分
出演:小日向文世 生瀬勝久 菊地凛子 鈴木京香
監督:チェリン・グラック
音楽:ジェイク・シマブクロ
http://www.sideways-movie.jp
もうひとつのちょっと寄り道 [85点] [参考:2]
オリジナル版の『サイドウェイ』は第77回アカデミー賞で脚色賞を授賞した作品であり、本作はその主な登場人物4人を日本人に置き換えたリメイク版である。
人生の折り返し点を過ぎた男女がある出来事をきっかけに自分の人生を見つめ直すロードムービーであるが、何だか自分の人生と重なるところが多く他人事とは思えなかった。
オリジナル版はもちろんいい作品なのだが、主要な登場人物が日本人になっている本作の方が肌に馴染むような気がする。
ストーリーはオリジナル版とほぼ同じ展開で進んで行くが、アメリカ人がアメリカを旅するロードムービーと日本人(それも久しぶりにアメリカを訪れた日本人とアメリカに根をおろした日本人のコンビ)がアメリカを旅するロードムービーとでは雰囲気がガラリと変わるから映画とは不思議なものである。
この作品にはワインがふんだんに出てくる。彼らはワインに例えて人生を語るのだが、ワインにはあまり詳しくなくてもナパとテロワールとカベルネとシャルドネの意味は知っていたので彼らの思いは伝わってきた。
4人の役者が実にいい。
久しぶりにアメリカを訪れた売れない脚本家の小日向文世はこの映画の主人公のような気が弱くて少し人生から落ちこぼれてはいるが、自分を取り戻そうとする役柄が妙に似合っている。
彼の友人でかつて一作だけアメリカのテレビヒーローとして有名になったが今はコックとしてアメリカに根をおろして生きている生瀬勝久の自己中心的マイペース男はとんでもない性格なのになぜか憎めない。
そしてかつては彼らのマドンナ的存在で、今はアメリカに根をおろし強く生きようとすることでその実崩れそうな自分を支えている鈴木京香さま(笑)は、強くあろうとするほど観ていて守ってあげたくなる。(かなり私情が入っているが(^^;)
あともう1人、彼らの中では唯一人生の折り返し点を向かえていない菊地凛子はこれまでに観た出演作3本(アニメを含めると4本だが。)の作品よりも本作の役柄が一番似合ってるような気がした。
おそらくこの作品は20代いや30代前半の方が観てもあまり共感はできないかも知れないがそれはそれでいいのである。まだまだ人生を振り返るには早すぎる人は真っ直ぐに前を見て生きていけばいいのである。
そしてその分は人生の折り返し点を過ぎた方にぜひ観てもらいたい作品である。
ふとしたきっかけで自分を見つめ直し、これまでにできなかったことを後悔はしてもそのことに黄昏たままこの先も生きていくのではなく、いくつになってもやがて来る明日に向かって歩き始める、そんな勇気を与えてくれる作品である。
2009/11/07 05:57
ほんと明日に向かって歩き始める勇気を与えてくれますよね。日常で疲れた心にたくさんの栄養をもらいました。
確かにこの映画は中年向きですよね^^構成上仕方ないですが。
でも20代の自分でもメチャクチャ楽しめましたよ♪たぶん生瀬さんに共感したのでしょう。最後の「婚約者(名前忘れた…)に人生の全てを賭けるしかないんだ!」と言った時の演技は最高でした☆
菊地凛子さんも素晴らしい演技でしたね。
Good Luck (09/11/22 23:23)