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サイドウェイズ

2009/日本/20世紀フォックス映画/123分
出演:小日向文世 生瀬勝久 菊地凛子 鈴木京香 
監督:チェリン・グラック
音楽:ジェイク・シマブクロ
http://www.sideways-movie.jp

※動画はQuickTime形式です。

偏差値:59.4 レビューを書く 解説 予告を閉じる

日本人キャストが嬉しい [82点]

※ネタバレを含むレビューです。
アメリカ人キャストによるオリジナル版も見てますけど、場所はそのままに、キャストが日本人になっただけで、まるで別の映画になりますね。アメリカだけど、日本語で喋っているというところが面白くて(お客様は神様ですとか)、同じ日本人として嬉しかったですし、ハラハラしました。

ハラハラというのは、もしや濃厚なラブシーンがあるんじゃないかっていうハラハラです。日本人としてはそういうシーンは見たくないですし、この4人のキャストだと想像したら、あまりにも生々しすぎて・・・。べとべとしないチュウだけで終わってよかったです。それでもかなりドキッとしましたよ。

小日向文世にすごく共感しますね。一番共感しやすいタイプ。オリジナル版を見たときも思いましたけど、アメリカ映画にはなかなか出てこないタイプですよね。だいたいアメリカ映画って、知り合ってすぐにベッドインしすぎだろといつも突っ込んでましたけど、これは安心してみられるというか。指一本も触れないし。応援したくなってくるというか。

出演者4人、最初は意外すぎて、誰がどの役か見当もつかず、こんなので本当にいいのかよと思ったのですが、映画を見てみたら、見事ぴったり。4人全員これまで演じて来た役の中でも最も好きな役になりました。僕には意外な発見だったかも。

いろいろなところで、日本版の方が展開が自然でうまかったような気がします。作品全体に漂う雰囲気、すごく好きな映画でした。また10年後、見直してみたいですね。そのときはもっと理解できると思うので。

2010/09/02 03:58 (2010/09/03 10:51修正)

シネマガ管理人

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迷コンビ? [80点]

小日向さんも生瀬さんもすごく面白くて大好きな役者さんなのですが、この2人がコンビだと本当に笑える。
本筋のあらすじは人生を見つめなおすような真面目な作品なのに、ちょっとした掛け合いが漫才をみているようで心地よかった。
鈴木京香さんは1人凛として格好よかったです。

ワインのことは詳しくないのですが、ワイン好きの人にお勧めの映画です。

ウクレレの音楽も作品の雰囲気とばっちり合っててよかったです。

2010/01/01 02:27

はりねずみ

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人生は熟成を重ねるワインのように [95点] [参考:3]

言わずと知れたアカデミー脚色賞に輝いた「サイドウェイ」の日本リメイク版。

結婚を1週間後に控えたプレイボーイと、自分に自信が持てず未来へ踏み出していくことができないシナリオライターのおかしくも苦い大人のロードムービー。
オリジナル版が最高のできだったために、かなり期待して映画館に行きましたが"期待通り"でした!

基本的なストーリーはオリジナル版を踏襲していますが、日本版ならではキャスティングの素晴らしさにまずは感激。それにしても、この映画を鑑賞して癒されるのは年を重ねたからですかねぇ。まだ20代ですけど…^^ なんだか自分が老けた気がする

菊地凛子の演技の素晴らしさには感動しました。「バベル」でも巧いなぁと思いましたが、今回はCUTEな部分が加わり大好きになりました。片言の日本語も可愛いです。今後ももっともっと活躍してほしい女優さんです。

ロードムービーの醍醐味は旅を通じて変化していく人間の内面でしょう。この映画は人生の様々な悩み壁にぶつかりながら、人生を熟成させる模様をワインと重ね最高のマリアージュで描く脚本は見事と言うしかありません。

印象に残ったシーンは麻有子(鈴木京香)と道雄(小日向文世)が自宅でワインを飲みながら流れるゆったりとした時間。そして、「タイム・アフター・タイム」を読んだその後の展開は最高のエンディングへと導いてくれます。ワインは何を飲むかじゃなくて、誰と飲むかですよね^^
Don't think, feel!

帰りにワインを1本買って帰りました♪

関連作品:「サイドウェイ」2004年版
連想作品:「テルマ&ルイーズ」
     「ストレートストーリー」

2009/11/22 23:13

Good Luck

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もうひとつのちょっと寄り道 [85点] [参考:2]

オリジナル版の『サイドウェイ』は第77回アカデミー賞で脚色賞を授賞した作品であり、本作はその主な登場人物4人を日本人に置き換えたリメイク版である。

人生の折り返し点を過ぎた男女がある出来事をきっかけに自分の人生を見つめ直すロードムービーであるが、何だか自分の人生と重なるところが多く他人事とは思えなかった。

オリジナル版はもちろんいい作品なのだが、主要な登場人物が日本人になっている本作の方が肌に馴染むような気がする。

ストーリーはオリジナル版とほぼ同じ展開で進んで行くが、アメリカ人がアメリカを旅するロードムービーと日本人(それも久しぶりにアメリカを訪れた日本人とアメリカに根をおろした日本人のコンビ)がアメリカを旅するロードムービーとでは雰囲気がガラリと変わるから映画とは不思議なものである。

この作品にはワインがふんだんに出てくる。彼らはワインに例えて人生を語るのだが、ワインにはあまり詳しくなくてもナパとテロワールとカベルネとシャルドネの意味は知っていたので彼らの思いは伝わってきた。

4人の役者が実にいい。

久しぶりにアメリカを訪れた売れない脚本家の小日向文世はこの映画の主人公のような気が弱くて少し人生から落ちこぼれてはいるが、自分を取り戻そうとする役柄が妙に似合っている。

彼の友人でかつて一作だけアメリカのテレビヒーローとして有名になったが今はコックとしてアメリカに根をおろして生きている生瀬勝久の自己中心的マイペース男はとんでもない性格なのになぜか憎めない。

そしてかつては彼らのマドンナ的存在で、今はアメリカに根をおろし強く生きようとすることでその実崩れそうな自分を支えている鈴木京香さま(笑)は、強くあろうとするほど観ていて守ってあげたくなる。(かなり私情が入っているが(^^;)

あともう1人、彼らの中では唯一人生の折り返し点を向かえていない菊地凛子はこれまでに観た出演作3本(アニメを含めると4本だが。)の作品よりも本作の役柄が一番似合ってるような気がした。

おそらくこの作品は20代いや30代前半の方が観てもあまり共感はできないかも知れないがそれはそれでいいのである。まだまだ人生を振り返るには早すぎる人は真っ直ぐに前を見て生きていけばいいのである。

そしてその分は人生の折り返し点を過ぎた方にぜひ観てもらいたい作品である。

ふとしたきっかけで自分を見つめ直し、これまでにできなかったことを後悔はしてもそのことに黄昏たままこの先も生きていくのではなく、いくつになってもやがて来る明日に向かって歩き始める、そんな勇気を与えてくれる作品である。

2009/11/07 05:57

kira

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