ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
2009/日本/アスミック・エース/104分
出演:小池徹平 マイコ 池田鉄洋 田中圭 品川祐 中村靖日 千葉雅子 森本レオ 田辺誠一
監督:佐藤祐市
脚本:いずみ吉紘
音楽:菅野祐悟
主題歌:TOKYO MOOD PUNKS
原作:黒井勇人
http://black-genkai.asmik-ace.co.jp/
サラリーマン哀歌 [78点]
僕もプログラマーでして、以前ブラック会社に勤めていたので、この映画はとても他人事のようには思えませんでした。そういうわけでこの映画には相当な思い入れがあります。人間誰しも劣等感はあると思うのですが、その意味では主人公は劣等感の象徴のような形で登場します。終始主人公の心の声が聞こえて来て感情移入できますし、主人公がこのどん底の中で立ち上がる姿には勇気付けられます。主人公が限界に来てついにぶちきれるシーンはなかなか泣かせますよ。田辺誠一のいい人ぶりも心地よく、困っている場面で助けられると我がことのように嬉しくなります。小さい会社ですが、社会の縮図ともいえる会社です。どこの会社も同じなんですね。佐藤監督、なんか好きだなあ。
2010/07/11 01:56
シネマガ管理人
どこも似たような会社だな [80点]
全くの予備知識なしで観たのだが、作品のタイトルから闇社会に暗躍する金融業か取り立て屋など『その筋』の会社か、あるいは資金繰りに行き詰まってブラックリストに載っている倒産寸前の会社を舞台にした作品だとばかり思っていたので、ブラック会社がそういう意味の会社だったと知って驚いた。
以前、ゲーム業界の裏側で働くプログラマーの悲惨さを訴えた記事を読んだことがあるが、本作で描かれる会社は一見クリエイティブで最先端の職種に思えるIT業界であり、その業界の本当の主役とも言える末端のプログラマー達の悲哀が面白おかしく描かれている。
物語の中に登場する2ちゃんねるのスレによる心の叫びが『電車男』にかぶるところがあって、やや二番煎じ的なところはあるものの、職種的にあの表現をはずすわけにはいかなかったのだろう。
バカで横柄なリーダーとのやり取りをバーチャル世界の戦場になぞらえた映像が、長年引きこもりでニートであった主人公のオタクぶりを上手く表している。
私のような機械オンチでパソコンオンチな者から見ればプロゲラミングの能力があれば、今の世の中どの職場に行っても引く手あまたで迎えてくれると思っていたが、それは大きな間違いだとこの作品に思い知らされた。
まあこの映画で描かれている会社ほどあからさまではないにしても、どこの会社も似たようなもので、サービス残業やパワハラであんなふうやこんなふう(悲惨過ぎるので自主規制)になった知人を少なからず見てきた者としては他人事とは思えない。
出演者はそれぞれがはまり役なのだが、リーダー役のお笑い芸人だけはどうもいただけない。
いやこの人が嫌いなわけではなく、テレビのお笑い番組に出ているのは好きなのだが、本作では他の役者と比べるとセリフ回に素人っぽいところがあり、罵詈雑言を浴びせていてもどこか浮いてるよう気がしてならないのだ。
この人が以前に出ていた仲間由紀恵主演のテレビドラマ『顔』の新米で要領の悪いダメ刑事役はなかなか良かったが、『ガリレオ』で演じた柴咲コウの先輩で彼女に偉そうに話す刑事役は全然似合っていなかった。
多分本人の人柄がいいからなのだろうが、本作のリーダーは後者を思わせるような役柄のため、何か無理してセリフをしゃべっているようで気になって仕方がなかった。リーダーよりも気の弱いプログラマー役を演じた方が似合っていたのではないだろうか。
また、この相方がある場面に出てくるのもいただけない。製作者は受けを狙ったのかそれとも相方に気を使ったのかも知れないが、せっかくの映画の雰囲気があの場面でぶち壊しになったような気持ちになってしまった。
まあどんな作品だってなにかしら目につくところはあるのだから粗を探すのはこのくらいにして、職場に不満を持っている私には十分に楽しめた作品であるため、同じように不満を持っている人にはぜひ観てもらいたい1本である。
でもこの映画に描かれた職種と同じ仕事をしている人が観ると、実際のブラック度はこんな程度じゃないぞ、と言うかも知れないな(笑)
2010/05/12 21:02
kira
『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』@ [65点]
いやー、こんな会社本当にあるのかなぁ。あるんだろうなぁ。
残業が当たり前、は旦那さんの会社も同じだし定時で帰れる会社の方が少ないと思いますが、正直こんな状態でよく会社が保てているな、とびっくり。
小池撤平演じるマ男が働く会社は下請けのIT企業。無理な納期を強いられ、きちんとした教育もないまま、過酷な労働条件下で働くことになります。
入社初日に何の説明もなく仕事をふられ、わからないことを聞こうにも先輩社員のスキルもない。リーダーはただ理不尽に怒鳴り散らすだけ。経費はもちろん落ちない。初日からサービス残業が当り前。
それでも高校中退→ニート生活を送っていたマ男にとってはやっと入社できた会社。限界まで頑張るしかなかったのだ。
でも正直映画を観る前、どんなひどい会社なんだろう?と、ひどいことを予想していたからか、意外と頑張れる環境だったようにも思いますね。実際マ男は頑張れてましたし。
リーダーや井出は人格も仕事の出来もどうかと思いましたが、ブラック会社じゃなくても、中小企業じゃなくてもきっとこういう人はいるし、どんなに理不尽でもそういう人とも一緒に仕事をしなくてはいけないのが会社ですもんね。スキルがない人が威張っているのは正直腹立たしいですが、ないスキルを責めても仕方ない。
でも救いなのは藤田さんのような人格者がいたこと。仕事ができ、そして後輩をサポートしてくれる、そんな人が一人でもいてくれたら、一人でも味方がいてくれれば、人はきっと頑張れるのだと思います。
マ男が入社した会社は確かにブラック会社だったけど、でも期限に追われて必死で時間との戦いで仕事をすることも、仕事が終わらなくて残業ばかり強いられることも、会社員である以上、仕方ない部分でもあるんですよね。ほとんど定時であがっていた私ですら、そういう経験ありましたから。
それに同じ労働条件であっても、同じ仕事量であっても、その人の能力や考え方、仕事のやり方などによって全然変わってくるもの。同じ仕事をふられて、淡々とこなせる人と、何時間も残業しないと終わらない人がいるのと同じこと。要は能力の差。やる気の差。最初から無理と思ってたらできないし、どうにかしようとする人はできちゃうもんなんですよね。
正直たいして内容がないストーリーを映画にしているので、無駄な描写が多かったり、デスマ(デスマーチ)のシーンが異様に多かったりしたのが気になりましたが、まぁその変は許容範囲かな。
きっとサラリーマンは自分の環境を照らし合わせて、多少なりとも共感する部分があるのではないかなと思います。そしてこの会社よりはうちはマシだ、と思えるかもしれないし、うちはもっとひどいと思うかもしれないし。正直この会社にシステム発注するのはかなり怖いですけどね。
でも私が思うに、無責任なリーダーよりも、リーダーのご機嫌伺いばかりの井出よりも、何よりもブラックなのは笑顔でいい人面している社長ではないか、と思ってしまったのでした。
2010/01/04 11:40
masako
タイトルに惹かれて・・ [70点]
で、試写会で観賞。
キサラギの監督だし、期待したほどではないけど、そこそこに面白かったかな。
なんか、足りない・・・どこかで見た話って感じは否めません。
2009/11/13 22:47
ぷらねっと
小池徹平『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』このタイトルに偽りなし
2009年9月14日(月)、豊洲にて、『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の完成披露試写会が行われ、佐藤祐市監督、小池徹平、マイコ、田中圭、品川祐、中村靖日、千葉雅子、田辺誠一が登壇した。
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