2009/日本/アスミック・エース/104分
出演:小池徹平 マイコ 池田鉄洋 田中圭 品川祐 中村靖日 千葉雅子 森本レオ 田辺誠一
監督:佐藤祐市
脚本:いずみ吉紘
音楽:菅野祐悟
主題歌:TOKYO MOOD PUNKS
原作:黒井勇人
http://black-genkai.asmik-ace.co.jp/
どこも似たような会社だな [80点]
全くの予備知識なしで観たのだが、作品のタイトルから闇社会に暗躍する金融業か取り立て屋など『その筋』の会社か、あるいは資金繰りに行き詰まってブラックリストに載っている倒産寸前の会社を舞台にした作品だとばかり思っていたので、ブラック会社がそういう意味の会社だったと知って驚いた。
以前、ゲーム業界の裏側で働くプログラマーの悲惨さを訴えた記事を読んだことがあるが、本作で描かれる会社は一見クリエイティブで最先端の職種に思えるIT業界であり、その業界の本当の主役とも言える末端のプログラマー達の悲哀が面白おかしく描かれている。
物語の中に登場する2ちゃんねるのスレによる心の叫びが『電車男』にかぶるところがあって、やや二番煎じ的なところはあるものの、職種的にあの表現をはずすわけにはいかなかったのだろう。
バカで横柄なリーダーとのやり取りをバーチャル世界の戦場になぞらえた映像が、長年引きこもりでニートであった主人公のオタクぶりを上手く表している。
私のような機械オンチでパソコンオンチな者から見ればプロゲラミングの能力があれば、今の世の中どの職場に行っても引く手あまたで迎えてくれると思っていたが、それは大きな間違いだとこの作品に思い知らされた。
まあこの映画で描かれている会社ほどあからさまではないにしても、どこの会社も似たようなもので、サービス残業やパワハラであんなふうやこんなふう(悲惨過ぎるので自主規制)になった知人を少なからず見てきた者としては他人事とは思えない。
出演者はそれぞれがはまり役なのだが、リーダー役のお笑い芸人だけはどうもいただけない。
いやこの人が嫌いなわけではなく、テレビのお笑い番組に出ているのは好きなのだが、本作では他の役者と比べるとセリフ回に素人っぽいところがあり、罵詈雑言を浴びせていてもどこか浮いてるよう気がしてならないのだ。
この人が以前に出ていた仲間由紀恵主演のテレビドラマ『顔』の新米で要領の悪いダメ刑事役はなかなか良かったが、『ガリレオ』で演じた柴咲コウの先輩で彼女に偉そうに話す刑事役は全然似合っていなかった。
多分本人の人柄がいいからなのだろうが、本作のリーダーは後者を思わせるような役柄のため、何か無理してセリフをしゃべっているようで気になって仕方がなかった。リーダーよりも気の弱いプログラマー役を演じた方が似合っていたのではないだろうか。
また、この相方がある場面に出てくるのもいただけない。製作者は受けを狙ったのかそれとも相方に気を使ったのかも知れないが、せっかくの映画の雰囲気があの場面でぶち壊しになったような気持ちになってしまった。
まあどんな作品だってなにかしら目につくところはあるのだから粗を探すのはこのくらいにして、職場に不満を持っている私には十分に楽しめた作品であるため、同じように不満を持っている人にはぜひ観てもらいたい1本である。
でもこの映画に描かれた職種と同じ仕事をしている人が観ると、実際のブラック度はこんな程度じゃないぞ、と言うかも知れないな(笑)
2010/05/12 21:02
kira
小池徹平『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』このタイトルに偽りなし
2009年9月14日(月)、豊洲にて、『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の完成披露試写会が行われ、佐藤祐市監督、小池徹平、マイコ、田中圭、品川祐、中村靖日、千葉雅子、田辺誠一が登壇した。