Harry Potter and the Half-Blood Prince
2008/アメリカ・イギリス/ワーナー・ブラザース映画
出演:ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリントン エマ・ワトソン アラン・リックマン トム・フェルトン マイケル・ガンボン
監督:デヴィッド・イェーツ
原作: J・K・ローリング
脚本:スティーヴ・クローヴス
撮影:ブリュノ・デルボネル
美術:スチュアート・クレイグ
衣装:ジェイニー・ティーマイム
編集:マーク・デイ
音楽:ニコラス・フーパー
http://www.harrypotter.warnerbros.co.jp
最終決戦 前夜 [80点]
ハリー・ポッターもいよいよあと1作品で完結である。もっとも最終巻『死の秘宝』の映画版は2部作になるため映画はあと2本作られることになっている。
前作『不死鳥の騎士団』が最終決戦への序章とも言えるべき作品であるなら、本作は最終決戦へと導く重要な位置にある。
予告編にもあった人間界でヴォルデモートの手下が暴れまくる場面をオープニングに持ってきたところでは、ついに魔法界と人間界の境界が破られたかと思い、ワクワクしてしまった。
原作を読んでいないのでこのまま人間界をも巻き込んだ戦いに発展するのかと思いきや、意外や話はハリーとロンとハーマイオニーの恋の行方が中心の展開に…。
ホグワーツ最大の危機を迎えんとしている時に何とノーテンキなと思いつつも、やはり全員が恋愛適齢期になっており、そちらの行方も気になってしかたがない。
しかし彼らが恋愛に現を抜かしているあいだにもヴォルデモートの手下たちの魔の手は着々とホグワーツに忍びより、本作は思いもよらない結末を迎えて終わる。
この結末にはさすがに驚いたが、そこに至るまでの恋愛話しがだらだらと続いたためか、映画がやたら長く感じた。
それとタイトルにもなっている『謎のプリンス』とはいったい誰なんだろうと考えながら観ていたが、ハリーの推理ではなく本人のたった一言の台詞で明らかになったのにはちょっと拍子抜けしてしまった。
そして突如明らかになったヴォルデモートのある大きな秘密も唐突で、この展開で本当にあと1作で(と言っても前編、後編の2作となるのだが。)完結するのか心配である。
いや原作はすでに完結しており、映画化も原作に忠実に行われているのだろうから、これはやはり原作を読んでみる必要があるか。
さすがに第6作目となると映画の中の時間と実際の時間の進み方が異なるため、原作よりもハリーやその仲間たちが大人びているとの批判もあるが、そこは原作を読んでいないのであまり気にならず、むしろ彼らの成長を観るのが楽しみである。
気になったのはこれまでの作品と異なり、観終わった時に1つの話が完結したとの印象がないことである。
例えて言うなら『スターウォーズ/帝国の逆襲』を観た時のような感じであったが、その分『ジェダイの復讐』への期待が膨らんだように『死の秘法』の公開が待ち遠しくもある。
また本作ではこれまでのような驚くべき魔法や怪物などはあまり登場せず、ハリーポッターシリーズとしてはやや趣が違っているが、彼らの恋愛騒動にも決着がつき、3人が協力して最終決戦に向かうことを誓い合うなど、次回作が楽しみとなる作り方をした作品である。
2009/07/28 22:55