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2009/日本/松竹
出演:松山ケンイチ 小雪 伊藤英明 大後寿々花 イーキン・チェン 金井勇太 芦名星 土屋アンナ 佐藤浩市 小林薫  
監督:崔洋一
原作:白土三平
脚本:宮藤官九郎、崔洋一
音楽:岩代太郎

http://www.kamuigaiden.jp

偏差値:55.4 レビューを書く 解説

役者はみんな良いのだけれど… [75点] [参考:1]

映画を観る楽しみが半減するため期待している作品ほど事前にあまり情報を入れないようにしており、この『カムイ外伝』も松山ケンイチ、小雪、伊藤英明が出演していること以外の情報はあえて入れないようにしていた。

ただ小雪が出ているので「もしかして…」とは思っていたが、開始早々に小雪の役名が「スガル」と判った時点で、ああやっぱり「スガルの島」の映画化かとちょっと落胆してしまった。

誤解のないように付け加えると「スガルの島」が悪い話と言うわけではなく『カムイ外伝』の中では一番ドラマチックで映画化しやすい作品であり、アニメ版『忍風カムイ外伝』でも「スガルの島」のエビソードを再編集した『月日貝』という作品が劇場公開されている。

だからテレビでは強気の発言が多い崔洋一監督が『カムイ外伝』を映画化するにあたっては、一番ベタな「スガルの島」はあえて選ばないだろうと思っていたのだが、その期待は見事に裏切られてしまった。

それならばストーリーの中に監督独自の解釈を入れた厳しい内容でくるかと思ったのだか、映画は実に原作どおりの作品で、テレビでは反体制的な発言をする崔監督も結局映画人としては体制側の人間なんだと感じた。

役者はみんないい。
カムイ役にはどうかなと思っていた松山ケンイチも見事にカムイになりきっており、さすがはカメレオン役者だと感じた。

スガルの娘サヤカ役の大後寿々花はどんな役をやっても上手いなあと感心した。

この2人だとテレビドラマ『セクシーボイス&ロボ』を思い出してしまうが、それはまた別のはなし。

伊藤英明も原作と比べると若すぎる気がするが、意外と不動が似合っていたし、芸達者な小林薫や小雪も熱演している。

一番驚いたのは藩主役の佐藤浩市である。この夏のテレビドラマでは一番見ごたえのあった『官僚たちの夏』で日本ため国民のために戦ってきた通産官僚とは真逆のワガママ藩主を嬉々として演じていたのが笑える。

藩主の妻役の土屋アンナはちょっと微妙。『どろろ』の妖怪姫と似ており、途中で妖怪に変身するのではないかとずっと思っていたがさすがにそれはなかった(笑)

演出は今一つ。
カムイの戦いの場面にスローモーションを多用していたのはいただけない。
カムイの秘技、変移抜刀霞切りの見せ方も何か違うような気がするし、十文字霞崩しにいたっては何の説明もされていなかった。

またカムイが裸になった時に体に傷一つなかったのも興ざめである。厳しい修行を耐え抜き、追い忍との戦いに明け暮れている男の体に傷一つないのは変だとは誰も思わなかったのだろうか。

そして見せ場の一つであるはずの鮫との戦いも海の色や帆船そして肝心の鮫があまりにもCGすぎて、せっかくの緊張感が台無しである。

役者の演技が良かっただけに、それ以外のところの粗が残念でならない作品となってしまった。

続編ができるのであれば違う監督による松山カムイのさらなる活躍に期待したい。

あともう一つだけ注文をつけるとしたら、エンディングの歌は倖田來未ではなく、やっぱり水原弘でしょう(笑)

2009/10/01 00:01 (2009/10/17 06:26修正)

kira

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