岸谷五朗＆フレンズ Act Against AIDS 2012 「THE VARIETY 20」ライブレポート

武道館で11月30日（金）と12月1日（土）に行われたAct Agains AIDS（略してAAA）「THE VARIETY」というライブに行ってみた。筆者がこのライブを見たのは今回が初めてだが、俳優の岸谷五朗の呼び掛けで93年にスタートしたもので、毎年開催し、なんと今年で20回目になるという。その内容は、HIVと闘う子供たちへの寄付を目的としたチャリティー・コンサートになっている。今年は東日本大震災の被災地を支援するために、初めて2DAYSの公演となったが（1日目の収益が被災地に義捐金として届けられる）、2日ともほぼ満席になる盛況ぶりだった。

俳優の岸谷五朗が中心で、しかもチャリティーということで、筆者はてっきり真面目な朗読会みたいなライブを想像してたんだけど、来てみてびっくり。想像と全然違ってた。

まずスクリーンに「今年でTHE VARIETYは20回目。20年というと、生まれた子がタバコを吸えるようになる年です」というテロップが出てオーディエンスは爆笑。「第1回のオープニングを見てみましょう」とテロップが出て、「ガッチャマン」のテーマ曲を歌う20年前の岸谷五朗の映像が映し出されたが、これがまあお世辞にもうまいとは言えず、突然「カーン」という鐘の音がなって映像が切られてオーディエンスはまた大爆笑。「今年もこりずにやっちゃいます」と自虐的に岸谷が登場し、ホウキをギターに見たてて「化身」を披露した。岸谷は「今年もくだらない内容です！」と自慢げに挨拶。この最初の一曲だけでこのコンサートの内容がどういったものなのか一発でわかった。ずっとこんな調子でライブは進行していく。ポップ、ロックはもちろん、ダンスもあれば、ミュージカルまである。曲と曲の合間には笑える映像をスクリーンに映し出して1秒も無駄にしていない。文字通りバラエティに富んだゲラゲラ笑える音楽ショーになっていた。

集まったメンバーがとにかくすごい。寺脇康文が岸谷とダブルMCでイベントを引っ張り、佐藤健、三浦春馬、城田優、ポルノグラフィティ、福山雅治、Perfume、高橋優などなど、アミューズのオールスターが一堂に集結していた。また、去年1年限り再結成したプリンセス・プリンセスが1日目のトリを務めるなど、岸谷五朗の人脈でなければまず実現しなかっただろう。

本業が歌手じゃない出演者が多かったけど、驚いたのは俳優たちも全員歌を歌っていたことである。あくまで「音楽ショー」という形にこだわっていたのは立派だ。俳優たちが歌うのはカバーとか替え歌とか半分カラオケのノリだったけど、まあ、気楽に笑って楽しめるショーを目指したものなので歌のうまさは二の次。普段演技をする俳優たちが一生懸命歌って、KARAとかのモノマネをすることに意義があるわけで。こういう一面を見られるのは貴重である。ありがたや～。といっても岸谷五朗は最初の第1回の映像と比べても歌唱力は遥かにパワーアップしていたし、佐藤健も三浦春馬もむっちゃ歌がうまかった。調べてみたら佐藤健も三浦春馬も7回目の参加ということで、こうなるともうレギュラー扱いだよね。

今年の大トリはポルノグラフィティだった。「ハネウマライダー」を歌うところでは、武道館の照明が全部ついて、みんなでタオルを振り回して、異様なまでの光景に。いやー、盛り上がったな～。

みんなすごかったけど、筆者個人的には「怪盗セブン」の3曲が圧巻だった。三浦春馬のダンスもなんかえらくかっちょよかったし、大地真央と森公美子はオーラが違っていて、この5分だけで真の舞台女優のカリスマというものを見せてもらった気がした。これなら人気があるのも納得である。

これだけ濃すぎる内容で、チケット代だけで、サンプラザ中野くんの「Runner」が聞けて、「怪盗セブン」や「RENT」の名場面がそのまんま体験できて、EXILEまで見られるなんて、こんな贅沢なことはないね。しかもチケット代でチャリティーに貢献できるのだから、これは気分がいい。みんながハッピーになれるというわけ。岸谷五朗は、第1回からコンスタントに毎年続けて、その間に結婚してパパになっているわけで、やっぱり20年というのはすごい。日本にもボブ・ゲルドフがいたんだね。フィナーレのあと、岸谷五朗はまた来年も開催することを約束していた。

セットリスト

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