『ダーク・シャドウ』ジョニー・デップがまた新たな歴史を作った

『ダーク・シャドウ』

5月12日(土)、『ダーク・シャドウ』のキャンペーンのため、ジョニー・デップとティム・バートン監督が同作のジャパンプレミアに登場した。同作のキャンペーン規模は、ハリウッド(5/7)とロンドン(5/9)とここ日本(5/12)だけ。ジョニー・デップは忙しい中、どうしても日本のファンに会いたいとの願いから、スケジュールの間を縫って来日してくれた。


9度も映画のキャンペーンで来日しているジョニーは、ハリウッドでも最も日本びいきの俳優と言われている。しかし、去年は代表作『パイレーツ・オブ・カリビアン』の最新作が公開されながらも多忙を理由に来日を拒否。ちょうど3.11の直後だったため、「どんなに忙しくても日帰りで日本に来てくれるはずのジョニデが来日を断ったことは彼自身の株を落とした」とささやかれたこともあった。今回は驚くほど徹底したサービスぶりで、その汚名を返上。これは前代未聞のファンサービスといって良いもので、ジョニーはまたひとつ記録を作ったと言える。


アメリカには「オートグラフ・マガジン」というサインコレクター向けの雑誌があるが、ジョニー・デップはその雑誌で「最も気前よくサインをしてくれる人物」に選ばれている。筆者も過去に何度かジョニーのレッドカーペットイベントは見てきているので、その言葉を否定はしない。彼ほどファンにくまなくサインしてくれる映画俳優は他にはいないから。そこで、今回の記事ではジョニー・デップのファンサービスがどれだけすごいのかを語りたいと思う。六本木ヒルズ アリーナの図を使って説明しよう。(↓図)

アリーナ図

このイベントに限らず、このレイアウトが最もよく使われるようだ。図の赤色の部分がレッドカーペットである。カーペットの全長は約100メートル。黄色い部分がチケットに当選した一般観覧者の立ち位置(1000人収容)で、他にも「ジョニー様を間近で見たい」というファンが六本木ヒルズに詰めかけてアリーナを取り囲んでいる。黒い太線はファンが前に乗り出さないようにするための仕切りの簡易柵である。グリーンの部分はラッキーゾーンであり、「通常は」このゾーンに立っている人だけがゲストのファンサービスを受けることができる。「通常は」と強調して書いたのは、ジョニー・デップだけは通常ではないからである。


18時をすぎた頃、ようやくジョニー・デップが高級車に乗ってけやき坂からアリーナへと入場した。ジョニーの登場に会場は大騒ぎだ。ジョニーはファンに軽く手を振って、すたすたとテレビカメラ席へ直行。テレビカメラ席では各テレビ局からインタビュー取材を受けることになっている。専門用語で「サウンドバイツ」と言われているものだ。


筆者は、ここで友達とある賭けをした。「ジョニーがどこまでファンサービスするか」という賭けである。筆者はジョニーのサービスの徹底ぶりを過去にも目の当たりにしているので絶対に勝つ自信があった。先にサウンドバイツを早めに終わらせて、その後でゆっくりファンサービスするのがジョニーお決まりのやり方だから、筆者は必ず図の(1)のところまで戻ってくれるとわかっていたし、柵をまたいで図の(2)のところのファンにもサインをしてくれると確信していた。だから図の(2)の横でずっと待ち伏せしていれば、至近距離から写真が撮れることも簡単に予想できた。


そして、ジョニーは思った通り、サウンドバイツを終えると、またスタート地点へと戻って行ったのである。もうこの時点で舞台挨拶開始予定時刻をとっくに過ぎていたのだが、言い方は悪いが「時間を守らない」のがジョニーの性格。遠く離れた図の(1)のファンのところまでわざわざ行って気さくにサインをし、ビジョンの裏の物陰にいたファンにまでサインをしてマスコミ席を大いに驚かせていた。そして、予想通り記者席の目の前にも来てくれたので待ち伏せしていた筆者はバッチリ至近距離から写真を撮ることができた。ありがたや。


もうだいぶ時間が遅くなったので、進行の都合もあり、ジョニーとティム・バートン監督は、ファンサービスを途中で切り上げ、ステージに登壇することになった。ステージで15分ほど挨拶した後、続いて2人は隣のビルの映画館へと移動し、映画館のスクリーン前で舞台挨拶に立った。驚くのはこの後で、ジョニー本人の希望でなんとまた2人はアリーナへと戻ってきたのである。マスコミもほとんど撤収した後だったが、一度は会場を退場したゲストが、また会場に戻ってきてファンサービスを再開するなど通常では絶対にあり得ないこと。関係者スタッフも「聞いたことがない」と言っていた。ジョニー・デップほどの大物でなければ許されないことである。


この日は凄い強風が吹き荒れていて、長時間立っているのは寒かったのだが、筆者は図の(3)のファンに「大丈夫。ジョニーのことだから絶対来てくれる。ジョニーに限って来ないなんてあり得ない」と言って励ました。以前『パブリック・エネミーズ』のときは「まだやるのか」というところまでサインしていた彼だから、きっとここまで来てくれると思っていた。


しかし、ティム・バートン監督の方はもう引き上げちゃったし、スタッフも「アリーナの使用時間があと10分で終了なんですよ」と言ってくるし。ジョニーの横に付き添っていた白髪のボディガードのおっさんも関係者席の近くにパイプ椅子を並べてジョニーの行き先に壁を作っていたし、時間的にももう無理かと思われた。


ところが、ジョニーはボディガードに椅子をどかすように言って、奥の方まで強引に突き進んで行ったのである。とっくに会場の終了時間は過ぎていたが、先ほど書いたようにジョニーは時間を守らない性格なので、そんなことお構いなしに中へ中へとどんどん進んでいった。まさか記者席の方まで入り込んでくるとはスタッフも誰も想定していなかったので、ここの部分だけは柵の強度が弱く、ジョニーが来るともみくしゃになって危険な状態になった。そのため記者席の真ん中手前あたりでファンサービスはストップ。残念ながら図の(3)のファンのところまで届かなかったが、それでもここまでファンサービスを徹底してやったことは前代未聞のこと。さすがはジョニー・デップと言わせる思い出深いイベントとなった。プレミアイベントでファンサービスにかける時間の長さでは『ワルキューレ』のトム・クルーズにこそ負けてしまうが、サインしてあげた人の数で言えばジョニー・デップはダントツ。ジョニーはこの日ひとつの歴史を作った。


『ダーク・シャドウ』は、ジョニー・デップがティム・バートン監督と8たび手を組んだ作品。ジョニーは1972年に200年ぶりに復活し時代錯誤に突き進む愛すべきヴァンパイアを好演している。ミシェル・ファイファー、エヴァ・グリーン、ジャッキー・アール・ヘイリー、クロエ・グレース・モレッツなど脇をかためているキャストも豪華。ムーディ・ブルースの「サテンの夜」など、当時の時代を反映する使用楽曲の選曲センスもキラリと光っている。5月19日(土)から丸の内ルーブルほか全国ロードショー。(澤田英繁)

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2012/05/14 3:52

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