水野美紀が禁断の世界に挑んだ『恋の罪』公開

『恋の罪』

11月12日(土)、テアトル新宿にて、『恋の罪』の初日舞台挨拶が行われ、出演者の水野美紀(37)、冨樫真(38)、神楽坂恵(30)、津田寛治(46)、小林竜樹(22)、メガホンをとった園子温監督(49)が登壇した。

今年は園子温イヤーともいえる年である。1月に公開した『冷たい熱帯魚』は国内外で批評家・観客両者から高く評価された作品であるし、今年ヴェネチアに出品した『ヒミズ』では日本人としては初めて出演者二人が最優秀新人俳優賞に選ばれる快挙を遂げた。ついこの間には私生活でも神楽坂恵との婚約も発表されたばかりである。そしてこの『恋の罪』である。『冷たい熱帯魚』では男性を描いたが、今度は女性である。90年代に実際に起きたラブホテル街の殺人事件にインスパイアされた禁断のエロスの世界。水野美紀、冨樫真、神楽坂恵の3人が身も心もむき出しにして演じている。

水野本人もタブーに踏み込み、今までと全く違う女性を演じられて感無量の様子。「男性には理解できないことかもしれませんが、女性に共感できる部分があったなら、それは皆さんも同じ闇を少なからず持っているということです。ずっと思い出に残る作品になりました。演じたことを誇りにできる役です」と話していた。

R18指定でありながら、初日は立ち見客があふれるほどの盛況で、園監督は「これほど愛してやまない作品はないし、最も愛していると言ってもいいぐらいです。ずっと心に留めておきたい作品になりました。こうして初日にたくさんの方に見守られて、こういう映画でもヒットするんだと日本の映画界に示すことができました」と感謝しきりだった。初日に来ていた観客の多くは『冷たい熱帯魚』も見ていたことが園映画の人気を裏付けていた。

そんな園映画にどうしても出たかったというのが津田。「オーディションでこの役をゲットしました。本当は『冷たい熱帯魚』に出たかったのですが、落ちまして。そしたらこの映画の話を聞いて、どうしても園組に加わりたかったので受けました。今こうして初日に立てて、受かって良かったなと思っています」と嬉しそうに語っていた。津田は「監督は『俺が役者に求めるのは、カーペンターズじゃない。ジャニス・ジョプリンなんだよ』といっていたのが印象に残ってます。誰のことかわからなかったんですが、それが心に響いて。綺麗な声で演じるんじゃなくてハートの声で演じろってことなんだなと」と話していたが、それは園映画の本質をよく伝えていた。

カンヌでは5分間ものスタンディングオベーションが起こった作品。日本でもこうして初日に満員になったので、結果は上々である。本作にはユーモアもある。カンヌの劇場では観客が大爆笑だったという。作中にフランスの有名な石鹸が出てくるところが最も受けたシーンというが、神楽坂は「本当に気もちいいぐらい皆さんが笑ってくださいました。私たちは真剣にやってるんですけど、真剣に演じれば演じるほど、ものすごい笑いが起こっていました。実際私も触りたかったですし」と話していたが、これが何のことかは映画を見て確かめて欲しい。

舞台挨拶で一番面白かったのは冨樫。赤い服で大人のお色気ムンムン。「私が自分で一番驚いたのはセックスという言葉を大きい声で言う場面です。自分でも、『あれ、こんなに大きい声で言っちゃった』とびっくりしてしまって。普段そんなに大声で言う機会はないので、良い体験になったと思います」と照れながら話していたが、ちょっとあがっていたのか、言葉が次第に文法的におかしくなったり、声が出なくなったり、顔を手で隠して照れる様子がなんだか可愛げがあって、妙に男心をくすぐっていた。男性客も笑顔で見守り、温かい拍手を送っていた。

最後に園監督は少しどもりながら「冨樫病が伝染ってしまいました」と笑いを取りつつ、「この作品は『セックス・アンド・ザ・シティ』の裏通り版です。見終わった後に女性でフリートークをして盛り上がれます。男性にとっても平成版『エマニエル夫人』になっています」とユニークな切り口から作品をPRしていた。

今年最高の「女優映画」との呼び声も高い『恋の罪』は現在公開中だ。(澤田英繁)

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2011/11/14 2:08

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