漢シルヴェスター・スタローンが放つ究極兵器『エクスペンダブルズ』発動!

『エクスペンダブルズ』

10月16日から『エクスペンダブルズ』が公開される。タイトルの意味は「消耗品軍団」だ。六本木駅の改札にはこの映画のポスターがでかでかと貼られてあったが、そのポスターに漂う漢臭さが何とも熱かった。いかにもゴツい筋肉系のオヤジたちが真っ黒な服を着て横一列にずらっと並んで腕組みしている。みんな眉間にシワを寄せて、眼つけるように不敵な笑みを浮かべてこっちを見てる。ただそれだけのポスターだが、何やらやたらと熱いポスターだった。それから出演者の名前を見て驚いた。シルヴェスター・スタローン(64)を筆頭に、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク、ブルース・ウィリスと続いている。みんなアクション映画だけにこだわり続けて来た俳優たちだ。スタローンの呼びかけに、世界のアクションスターたちが話を何も聞かずに二つ返事でOKして集まった。アクション映画の大作で一枚看板を掲げるトップスターたちが、今こうして名前を連ねている。もうこれだけでも目ん玉が飛び出るほど凄いのに、しかもキャストの中にはアーノルド・シュワルツェネッガーの名前も。ずっとずっと映画に復帰してくれることを待っていたけど、やっとやっと復帰してくれたか! これまでずっとライバル関係だったスタローンと同じ作品で出てくるなんてふさわしすぎ! もうこれは「豪華キャスト」なんて次元じゃない。

しかも映画の中では壮絶なる肉体派アクションを繰り広げているとか。最近のCG満載のアクションなんてなんのその。昔ながらのド派手アクションで見せまくっているという。もちろん監督はシルヴェスター・スタローン本人だ。彼の監督としての腕前は『ロッキー』シリーズでも立証済みだ。昔は「自分で監督もやるなんて」という声が多かったけど、今では「彼自身に作ってもらわなきゃ」という声の方が圧倒的。自らの手でアクションを作るところが熱く、ファンのハートを鷲づかみにする。今回もスタローンはこだわりにこだわって、何度も何度も推敲を重ねて満足いくまで脚本を書き直したという。

公開を前に、9月26日、スタローンはキャンペーンのために日本を訪れ、渋谷で行われたレッドカーペットイベントと一般人参加型記者会見に出席した。以前から日本に来るか来ないかでファンをやきもきさせていたが、スタローンは情報解禁前に思わずツイッターで「日本に行くんだ。楽しみだよ」とつぶやいてしまった。彼と共にドルフ・ラングレン(52)も来日。この二人の顔合わせは『ロッキー4』の再現となる。

普通レッドカーペットといったら、そのほとんどが女性客で埋め尽くされるものだが、この日は狙ったわけでもないのに男性客がひしめき合っていた。これまでいろいろなレッドカーペットを取材してきたが、こんなに男臭いレッドカーペットを見たのは初めてである。マスコミ側も男ばかり。スタローンが出てくると、客席がどっと沸くのと同時に、マスコミ席からも「やっぱ、かっこいいな!」という男たちの歓声が聞こえてきた。もう60半ばだけど、あのたたずまい、たしかにぐっとくるものがあった。スタローンは、笑顔でファンに手を振って、何度もラングレンとボクシングのポーズをして喜ばせていた。ラングレンはいかついイメージとは裏腹に普段はものすごく優しい雰囲気で、終始瞳をキラキラ輝かせて笑っていた。司会のLiLiCoはラングレンと同郷のストックホルム出身。「筋肉は好きですか!」と客席をまくしたて会場の熱気を何倍も盛り上げてくれた。シュワルツェネッガーもせっかく政務でちょうど日本に来ていたのだから、せめてちょっとだけ顔くらい出して欲しかったと思ったけど、そんな不満も忘れるほど、この2人のオーラは凄まじかった。

続いて室内に移って記者会見へ。プロの記者たちだけでやる記者会見というのは、とにかく退屈でつまらないけれど、この日は半分以上が一般人とあって、従来のそれとは熱気が違った。プロの記者はなかなか手を挙げないし、質問するのも億劫な人が多いけれど一般人は別。LiLiCoが「質問がある人」といった瞬間、一般客全員がすごい勢いで我こそはと手を挙げ、みんな「ハイ!ハイ!」と猛烈にアピールしていた。しかも内容が「ツイッターでは本当にスタローンさん本人がつぶやいているんですか?」など、およそプロの記者では思いつかない奇想天外な質問ばかりで、プロ顔負けの愉快な会見となった(ちなみにツイッターは本当だという)。

スタローンは記者会見中、質問されるたびに「オーマイガッ!」「ワーオ!」を連発していたのが印象的だった。今回これだけのキャストが集まった理由については「100人中、5人くらいピンとくる人がいるんだ。『ロッキー』のエイドリアンもそうだったし、今回はドルフがそうだったんだ」と話していた。プレスリリースによるとこれは『ワイルド・バンチ』、『特攻大作戦』といった往年の豪華キャストのアクション映画を意識した作品ということだったが、日本の記者会見では『七人の侍』を参考にしていることも明かした。

BGMには古いロック音楽が使われているが、ここについても質問で触れられ、「ロックも僕が選んだんだ。この映画はサムライタイプの男たちの話なんだ。彼らサムライにはナウい曲は向いていない。オールドロックの方が向いているんだ」と話していた。今時のヒットソングじゃなくて、あえて古いロックというところがオッチャンパワー全開という感じがして、また熱い。

一般席に一人、ランボー風のものすごく目立っていた男性がいて、何度も何度も手を挙げていたのに一度も当てられなかったものだから、優しいスタローンは「彼にも質問させよう。彼はすごく気合いが入っていたからね」と気を遣う場面もあった。しかし、その男性が日本語で「スタローンさん、愛してます」と切り出すと、スタローンは間髪を容れずに「もういい。次行って」と一蹴し、会場は大きな笑いに包まれた。

「気が早いですけど、続編はいつ作るんですか? 今すぐにでも続編を見たいんです! 我慢できません!」という熱い質問もあったが、スタローンは包み隠さず「来年にはクランクアップする予定さ。ブルース・ウィリスの出演ももう決まってるし、次回もうんとアーノルドを茶化して苦しめたいと思う」と構想を明らかにしていた。

エクスペンダブルズ』は、世界興行でこれまでのスタローン映画の中で最高の成績をおさめている。日本公開は10月16日から。(文・澤田英繁)

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2010/10/03 14:02

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