渋谷駅にて『ザ・コーヴ』の上映中止を求めるデモが行われる
今年アカデミー賞の最優秀ドキュメンタリー映画賞に輝いた『ザ・コーヴ』の上映中止が相次いで起きている。映画館に抗議文が送られ、抗議デモの予告がされたことで、6月3日(木)、メイン館のシアターN渋谷が近隣店舗と取引先に迷惑をかける可能性が高いとして上映中止を決定。その翌日4日(金)にシネマート六本木とシネマート心斎橋(大阪)も上映中止に追い込まれた。この結果、『ザ・コーヴ』の東京での上映館はすべてなくなった。
6月5日(土)には、抗議団体が渋谷ハチ公前で『ザ・コーヴ』の上映中止を求めて抗議デモを実行。週刊シネママガジンはその一部始終を取材した。抗議団体は30人以上集まり、デモは40分間続いた。途中、通行人と揉み合いになる場面が2度あり、渋谷駅は一時騒然となった。
以下に抗議団体のスピーチを引用する。
「皆さん、暑い中御苦労さまです。渋谷駅ハチ公口をご通行の皆様。大変大きなマイクの音でお騒がせをいたしております。皆さん、すでにニュースでご存知かと思いますが、この映画『ザ・コーヴ』。我が国のイルカ漁を欧米白人たちが勝手に盗撮して、日本人は残虐で野蛮な民族だということを描きだしたこの反日映画。(中略)この映画、我々が上映中止に追い込んでやったんです。これがね、今マスコミから「とんでもないことだ。言論の自由の弾圧だ!」、そんな馬鹿なことを言われてるんだよ。言論の自由というのは空気みたいにどこにでも存在しているもんじゃねえんだよ。(中略)言論の自由というのは日本が保障してるんだよ! 我々が何百年何千年と守ってきた日本が我々の言論の自由を保障している。その日本の悪口をいい、日本なんかクソくらえだという言論の自由は断固として否定する! 日本が嫌いな国賊には、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す権利ぐれえまではかろうじて認めてやることはできるよ。けれども日本が嫌いな国賊野郎には日本の悪口をいう権利は認めることはできません。こういうことをいうととんでもない考えだと思うかもしれませんが(中略)、我が国の刑法においては正当防衛が認められてるんですよ。ここにいる誰かに危害を加えようとする奴をぶっぱなすのは正当防衛として認められてるんですよ。誰かがここに車で突っ込んでこようとしてもそいつを撃ち殺すのは正当防衛の範囲なんですよ。同じように日本という国家に対して危害を加えようとするものから日本という国の民族の名誉と誇りと伝統文化、生存権を守ること、これは正当防衛の延長上にある民族正当防衛の行使なのであります。日本なんかクソくらえといいながら日本の言論の自由を守ってください? あほか! そういう奴こそ論理的整合性を欠いてる。こんな映画なんかね、精神病院のテレビデオで上映すればいいんだよ。こんなのは映画館で上映するもんじゃないんですよ。アンプラグドの社長、こいつはとんでもない奴ですよ。(中略)そんな腰抜け腑抜けの馬鹿野郎が日本をおとしめる映画の上映をやろうとしてる。ふざけた話じゃねえか!(中略)それをこいつは「見てから判断してください」だと。何言ってんだよ! なんでこんなクソ映画見るために俺が映画館で1800円も払って見なければいけないんだよ!(中略)じゃあ金払ったらこいつ意見を聞くのかといったら聞くわけないですよ。どうせ映画の鑑賞料の中にクレームも聞いてやる代も込みで見てもらうんだくらいの考えでやってるんだ。こいつは反日を商売にしてる! 国賊じゃねえかこの野郎は!」
と、ここで、通り掛かった外国人の男性が「ハイル!」といって右手をあげて敬礼のポーズを見せて団体をからかうと、「おい、なんだてめえ!馬鹿野郎!おらぁ!そこの白人!」と揉み合いになり、複数の警察官がかけつけて止めに入った。
抗議団体は、「ここは日本。美しき日本。日本人の住む島。汚いホワイトピッグが生意気をぬかせる場所ではありません!(中略)反日外国人を日本から叩き出せ! クソ生意気な欧米白人は日本から出ていけ! 『ザ・コーヴ』の上映許さないぞ!我々は『ザ・コーヴ』が日本から上映中止になるまで闘うぞ!」と今後も徹底的に上映中止を求める姿勢である。
この報を聞き、ルイ・ホシヨス監督は「しかし、これによって、多くの日本の方が、この映画で描かれていることは一体何なのか今まで以上に興味をもたれたのではないかと思います。勇気ある日本の皆さんが、上映できる映画館を見つけてくださることを祈っています」とのコメントを寄せた。
編集部に届けられたファックスによると、アンプラグドの加藤代表は「『ザ・コーヴ』は決して反日映画ではありません。映画の内容について深く建設的な議論をすることが必要であると考えています。日本を舞台に描かれた映画を日本の映画館で見る機会が失われることを残念に思います」とコメントしている。
『ザ・コーヴ』は、全国20館余で上映を予定しているが、その中には「必ず上映する」という劇場もある。当初の予定通り、6月8日からは出演者のリック・オバリーがPRのために来日し、上映イベントにも出席する予定だ。
渋谷駅に抗議のために集まった団体。
抗議文を掲げてシュプレヒコールをあげているところ。
外国人の通行人を取り囲んでいるところ。
2010/06/06 20:40