『アリス・イン・ワンダーランド』ジョニー・デップ過密スケジュールの来日

ジョニー・デップ

3月22日(月)、ジョニー・デップ(46)が『アリス・イン・ワンダーランド』のPRで来日。成田から移動して、一足先に来ていたティム・バートン監督(51)と新宿で記者会見、続いて恵比寿でファンミーティング、最後に六本木でジャパンプレミアと、たった一日で少なくとも3つのイベント・取材をこなした(間に個別取材があったかどうかは不明)。

普通ハリウッドスターの来日といったら、初来日とか3年ぶりとか8年ぶりとかそんなものだが、ジョニー・デップは違う。デップは去年『パブリック・エネミーズ』でも来日しており、なんとあれからまだ3ヶ月しか経っていない。『パブリック・エネミーズ』は公開直前に突然の来日だったが、今回も緊急来日。飛行機の都合で、デップは一泊を余儀なくされたが、当初の予定では日帰りだった。翌日には撮影のため帰っていったというから、なんという忙しい男か。

デップは会見で「日本は特別な国なんだ。今日もさっき空港に着いたばかりだけど、大勢のファンが温かく迎えてくれた。日本ではまだ一度もしかめっ面に会ったことがない。これはとてもレアなことだ。こんなに温かい国は他にはないね。日本に来るのはとても嬉しいよ。ありがとう」と話していた。空港には1000人もファンが待っていたそうで、徹夜で待っていた人も50人くらいいたらしい。今回の来日も「ファンのためだけにやったんだ。僕らにとってファンがナンバー1だからね」というデップのたっての願いから実現したことである。

日本で今最も人気のあるスターとあって、セキュリティもかなり厳しかった。フォトコールの会場と記者会見の会場は別々で、各媒体カメラマン1名、記者1名までの完全予約制。記者は撮影NG。ゲリラで来たカメラマンは強制退場。会見場のいたるところにセキュリティが立っていたのも印象的である。これだけ制限していてもホール席を埋め尽くすほどの記者が集まったのだからデップのその影響力は計り知れない。

集まった記者の顔ぶれもテレビ、新聞、雑誌、ラジオ、ツイッターライターまで、バラエティに富んでいた。熊本から来たテレビキャスターが「日本の南、熊本から来ました」と言ってデップに質問したかと思うと、次に質問したキャスターが対抗心むき出しにして「日本の南、鹿児島から来ました」と言って会場から笑いが漏れる場面もあり、まさに全国津々浦々よく集まったものである。そのせいか、映画系の媒体が少なく、映画の質問よりも空気を読めないプライベートな質問が多かったが、デップはどんな質問にも真面目に答えていたのが印象的だった。

なぜかフジテレビだけが他の媒体と違って特等席から取材していたが、手もあげていないのにMCから名指しで当てられた軽部真一アナは、デップが今回帽子屋を演じていることについて質問していた。デップは「帽子は好きだよ。スーツに帽子をかぶっていた優雅な時代を思い出させてくれるからね。今回帽子屋を演じるのは自分の中では準備ができていた。実生活では5つか6つ帽子を持っているんだ」と答えていた。

「どういう夢を見るか」という質問にはデップは「昔はよく空を飛ぶ夢を見たものだけど、今では暗い夢ばかり見てるかな」と答えた。一方バートン監督は「私は今日巨大なロブスターの夢を見た。ちょうど『ゴジラ』を見ていたからだろう」と言って記者陣を笑わせた。

バートン監督は、割とどんな質問にも冗談で答えていたが、やっと映画の質問が投げられてから、水を得た魚のように態度が変わり、「今回は3Dという要素があったからやりたいと思った。媒体と素材が完璧にマッチしたんだ。映画好きならひきこませるツールだと思う。色、サウンドのようにキャラのひとつとして3Dを使うことができた」と急に熱く語り始めた。

ティム・バートンとジョニー・デップはゴールデン・コンビと言われる。これまでに何度も一緒に仕事をしているが、毎回デップの役柄は違っている。デップは「こういうことを言うとティムが逃げるかもしれないけど(横にいたバートン監督が耳をふさいで照れる)、ティムは本当の意味で作家でありアーティストなんだ。彼が感じたものを心から表現している。それは今も変わっていない。ティムと仕事をすることは、家に戻るような居心地のよさなんだよ。今回も満足感のある作品になった」と語ると、バートン監督は「ジョニーとは『シザーハンズ』から始まって何度も一緒に仕事をしているけど、毎回初めて仕事をしているような気分だ。それが私たちの喜びであり、映画をつくる楽しさだ」と続けた。

なんと、二人は過去に衝突したことがないという。バートン監督は「喧嘩したときは腕相撲で解決するようにしてるよ(会場笑)。実は私たちは今まで一度ももめたことがない。私がこれをやってみようと思った同じことを不思議とジョニーが思っていたりする。お互いにやりたいことがあっても合意点を見つけられるものだ」と話していた。

デップは今回もどぎついメイクにインパクトがあるが、デップは「僕の場合、変装することで、逆に自分を出せるんだ。僕が子供の頃に尊敬していた俳優は誰かと考えてみると、みんなキャラクターアクターだった。ロン・チェイニーもポール・ムニもマーロン・ブランドも毎回違う役を演じていた。僕も毎回違う役を演じたいんだ」と影響を受けた役者の名前を挙げつつ「人を観察することが大切。色々な人の振る舞いを盗んで、それを自分の棚にしまっておくんだ」と演技のコツについても教えてくれた。

ファンのためだけに行われた恵比寿のイベントでは、恵比寿ガーデンプレイスがお城のセットと見事に同化し、不思議な空間を生み出していた。主人公アリスが19歳ということから、福田沙紀(19)ら19歳の女優、モデルがゲストとして登場、『アリス・イン・ワンダーランド』をモチーフにしたアクセサリーをデザインしたQ-POTのワカマツタダアキ(33)もレッドカーペットを歩いた。デップは300人のファン一人一人にサインをし、3500人のギャラリーに手を振り、短い滞在時間を満喫していた。(文・澤田英繁)

アリス・イン・ワンダーランド』はウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの配給で、4月17日(土)より全国ロードショー。

[PR] 戦国時代カードゲーム「秀吉軍団」好評発売中

2010/03/29 4:55

サイトのコンテンツをすべて楽しむためにはJavaScriptを有効にする必要があります。