藤沢周平映画にまた新たなヒロイン『花のあと』北川景子
1月26日(火)新宿にて、『花のあと』の完成披露試写会が行われ、主演の北川景子(23)、甲本雅裕(44)、宮尾俊太郎(25)、國村隼(54)、中西健二監督が上映前に舞台挨拶を行った。
『花のあと』は、時代劇作家・藤沢周平原作の同名小説を完全映画化した作品。時代劇でありながら、その中で新しいジャンルを切り開いた名作家であり、これまでに映画化された作品はいずれも高い評価を獲得している。これまでに、宮沢りえ(『たそがれ清兵衛』)、松たか子(『隠し剣 鬼の爪』)、木村佳乃(『蝉しぐれ』)、檀れい(『武士の一分』)、田中麗奈(『山桜』)と、錚々たる人気女優たちが藤沢映画でヒロインを務めて来た歴史があるが、ここにまた新たに北川景子の名が加わった。
東映が完成披露の日をこの日に選んだのは、この日が藤沢先生の命日だからである。朝方藤沢先生の墓参りに行って来た北川は、藤沢先生の故郷・山形から取り寄せた桜(冬に咲く本物の桜)の前に立つと「藤沢先生の作品に出させていただけるのは光栄です。藤沢先生の命日にこうして完成披露の機会をいただいたのは大変感慨深いです。初めての時代劇で、どのように立ったり座ったりすればいいのか、そういったことが全くわからなくて、ゼロからのスタートだったのですが、一生懸命特訓して、藤沢先生に見せても恥ずかしくない作品になるように皆さんと作品を作ってきました。昔の日本人の持っていた内面の美しさを描いた良い作品になっていると思います。現代の日本人が見た後に、すがすがしい気持ちになるような、前向きな気持ちになるような映画になったと思います」と挨拶。本人も作品の出来栄えには確かな手応えを感じていたようで、終始自信に満ちた表情であった。
中西監督はこれが監督2作目。時代劇についても初体験とのことで、監督は「すべてが勉強でした」と話しているが、「人としていかに生きるべきか、藤沢先生の世界を描くためには、奇をてらわずに、オーソドックスに描くことが大事だと思って作りました」と、今回は原作の持つ趣を再現することに徹したようだ。
國村は、この作品を「静かでなおかつ力強い映画になりました。藤沢さんの世界を忠実に再現しています。日本人の持っているたたずまいは、静と動のどちらかといえば静の方だと思うのですが、今の世の中で自分が日本人であることをもう一度気付かせてくれる作品ができあがったと思います」と評している。
甲本も自作について「綺麗な花は仕事で見るもんじゃないと映画を見て改めて思いました。桜はもうちょっとゆっくり見ていればもっと美しかったと思うのですが、映画にはその美しさが出ています」と紹介。日本の四季の美が、静かながらも力強く表現されているということだろう。
『花のあと』は東映配給で、3月13日(土)から全国公開される。(文・写真:澤田英繁)
2010/01/27 1:55