心温まる大人のラブストーリー『今度は愛妻家』

今度は愛妻家

12月7日(月)、銀座・東映にて、『今度は愛妻家』の完成披露試写会が行われ、豊川悦司(47)、薬師丸ひろ子(45)、濱田岳(21)、石橋蓮司(68)、行定勲監督(41)が登壇した。

『今度は愛妻家』は、夫婦の機微を時にコミカルに、時に切なく描いた大人のラブ・ストーリー。見終わった後、愛する人が隣にいることの幸せを感じる感動作だ。

次々とヒット作を放ち、ひとつの映画ブランドになったともいえる行定勲映画だが、監督は「僕はずっと青春映画を撮って来たんですけど、大人の映画といったら、社会派映画だとか時代劇とかになってしまうんですけど、そうじゃなくてもっと気軽に映画を見に来た人たちが楽しめる映画が日本にはすごく少ないと思いました。昔は夫婦の機微を描いた映画が沢山あったのに、僕もそういう映画に影響されて映画を作ってきたんですけど、同世代の俳優とそのテーマを日本に浸透させたいと思ってこれを作りました。これは僕にとってある種の実験作になっています」と話しており、あらたなる野心をのぞかせた。

薬師丸は、「心にポッとロウソクがともるような温かい映画」と自作を評し、「普段は照れ臭くて知人には声をかけないのですが、今日は一日も早く見ていただきたいなと思いまして知人を呼んで来ました」と自信満々だ。見ているうちにどうしょうもないくらい愛おしくなってくる素敵な奥さん役を好演しており、彼女にとっても本作は特別な思い入れがあるようだ。

豊川は「年末ジャンボみたいな感じでドキドキします。皆さんに3億円が当たりますように」と意味不明の挨拶で会場を沸かせたが、自分の役については「僕の大好きな駄目駄目野郎の役です」とニンマリ。珍しくリハーサルを重ねて役になりきったという。

石橋は「半世紀近く役者をやっていますが、この映画で新しい分野を開拓できたと思います。それがどういう意味かはご覧になってください」と挨拶。詳細は映画を見てのお楽しみだが、実際に試写会では石橋の初登場シーンに会場全員大爆笑だった。

もともとは舞台劇なので、ほとんどのシーンが主人公の家の中で展開。主な登場人物はこのメンバーに水川あさみを加えた5人だけ。行定監督にとって初の舞台劇の映画化だが、夫婦のやりとりがコミカルながらもリアルで、男と女の本質がよく描かれている。映画を見ているときっと自分を重ね合わせてしまうだろう。

家のセットは遊び心に溢れており、中央のソファの描き方が実に巧い。豊川悦司と薬師丸ひろ子が背中合わせで寄り掛かって座るシーンの画的センスはピカイチ。何度も出て来るニンジン茶やスクラップブックなど、小道具ひとつにしても描き方に味がある。その家の中のシーンは、まるで夢の中にいるような心地にさせる。

前半はコミカルなシーンが多く、何度も笑わせて映画に引きこまれるが、後半からだんだんとその気持ちが切ないものに変わってくる。その変化の見せ方といったら、行定監督の天才的感性に唸らされるばかりである。

本作はクリスマス映画であるが、公開は来年の1月16日(土)から。(取材:澤田英繁)

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2009/12/09 5:40

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