Casino Royale
2006/アメリカ・イギリス・ドイツ・チェコ/ソニー・ピクチャーズ/144分
出演:ダニエル・クレイグ エヴァ・グリーン マッツ・ミケルセン ジュディ・デンチ ジェフリー・ライト
監督:マーティン・キャンベル
(データベース登録者:ハローメロウ)
偏差値:60.7 レビューを書く
荒々しい新生ジェームズ・ボンド [85点] [参考:1]
007ビギニングとも言える本作の新生ジェームズ・ボンドは、敵の倒し方が実に荒々しく、スマートさがない。
しかし00に任命されたばかりで若く血の気が多く、今までのどのジェームズ・ボンドとも違う人物像が、まさに007ビギニングらしい。
これまでのボンドの風貌とは異なるダニエル・クレイグを007に抜擢し、定番の秘密兵器は登場せず、ボンドの体力と頭脳とで見せる本作は文字どおり大きな賭けであったと思われる。
だがその不安を吹き飛ばすかのようにアクション映画・サスペンス映画としては面白いものとなっており、新作「慰めの報酬」が作られたことからも本作の評価のよさが証明されていると言える。
本作のジェームズ・ボンド像は実に新鮮であり、話もボンドが次々と危機に遭遇する展開がスピーディーで面白い。
面白いのだが、残念ながらお約束のQもRも出てこず、ミス・マニーペニーも出ないのであれば、この作品にあえて007の冠をつける必要があったのだろうかと考えてしまう。
その上ボンドガール(いや本作ではボンドガールと言う呼び方さえないのかも知れないが)に至っては、かつてなかったような結末が待っている。
新生ボンドとは言え、その象徴とも言えるアストンマーチンを粉々に破壊し、過去と決別するかのような製作方針のあまりの変貌ぶりに、これまで数々の007シリーズを観てきた者としては、戸惑いを隠せなかったのも事実である。
これで本作がつまらない映画であったなら、やはり従来のボンド像を踏襲してなかったから…と言えるのだが、これはこれで面白い作品となっており、ジェームズ・ボンドにこんな解釈の仕方もあったのかと感心してしまう。
新作「慰めの報酬」は本作のラスト1時間後かりら始まると言われているため、本作と同じ荒々しいボンドが見られるはずであるが、本作で心に大きな傷を負ったボンドがどのような活躍を見せてくれるのかが楽しみである。
2009/01/26 20:13