トゥモロー・ワールド
Children of Men
2006/イギリス・アメリカ/114分
出演:クライヴ・オーウェン ジュリアン・ムーア マイケル・ケイン
監督:アルフォンソ・キュアロン
偏差値:61.8 レビューを書く
SF映画にまた新たなる金字塔が登場 [99点]
※ネタバレを含むレビューです。
2000年から2009年の間に公開されたものでは、僕が最も好きなSF映画ですね。全人類が不妊になり、政治的にどうしょうもなく廃れきった世界が舞台です。トリュフォーの「華氏451」を見た時は閑散とした未来都市の映像にゾクゾクしたものですが、この映画も未来都市の病んだ感じが素晴らしいです。もうこの映画、5回くらい見てますが、毎度見るたびに胸にぐっときます。
なんといっても見どころは長回し。これほど緊迫感に満ち溢れた長回しは他にありません。とくにジュリアン・ムーアの乗った車が突然襲撃されるシーンは、先日また見直してみて、その演出の素晴らしさに感動で涙が出ました。長回しからくるこのただならぬ臨場感。本当に良いシーンを見ると、僕は興奮して泣けてくるんです。ヒロインが登場したかと思ったら、早々と死んでしまう展開も、それまでの映画に対するアンチテーゼなんでしょうね。
もうひとつ特筆すべき点は、この映画は主人公の視点で描かれていること。そのため感情移入しやすいです。危ない場所から逃げ出すまでをワンカットで撮影したシーンは本当にハラハラドキドキでした。
主人公の視点なので、自分以外の登場人物がどうなったかはあまり問題ではないんですよ。そこが面白いところで、他の登場人物は主人公と別れたところで出番は終わりなんです。その後その人物がどうなったかは主人公にはわからないわけですから、当然映画の中でも描かれていません。この当たり前のことが新鮮なんです。
マイケル・ケインの優しさが泣けてきますが、彼が撃たれるところを遠くから覗いているシーンがもうやるせないですね。遠くから望遠レンズで撮影しているので、物凄くショッキングなシーンになっています。
ラストのジョン・レノンの歌声がいいですね。本当は100点をあげたいところですが、唯一マイケル・ケインが妻を毒殺するシーンところだけは主人公の視点で描かれたものと言いがたいので、点数は1点原点して99点としました。
2009/12/20 22:59 (2009/12/21 00:32修正)
シネマガ管理人
希望とは何ぞや [85点] [参考:1]
※ネタバレを含むレビューです。
この映画の舞台は2027年。子どもが産まれなくなった世界で、奇跡的に妊娠した女性を守る男の物語。
子どもが産まれないという設定とともに、この映画で描かれる世界はやたら殺伐である。「非常にリアリティのある殺伐さ」と言えばいいのか。今から十数年後の世界だけに余計に。
そんな世界の中の希望と言える赤ん坊の泣き声で皆が静まり返り、主人公たちに道を譲る、この設定だからこそ成しえた非常に印象的シーンでした。
ラストシーンも印象的。その後は観客の想像にお任せするようなのはあまり好きではないのだが、映画のテーマ上、逆にこのラストにした方がいいのかもしれません。
この映画は、長回しが非常に素晴らしい。クライマックスの6分にも渡る長回し。僕は映画の専門的ななんとやらは何も知らないので、上手く説明できないのですが、やはり素晴らしいの一言。あれだけの長時間、役に集中した主演のクライヴ・オーウェンとカメラを回し続けたスタッフは本当にお見事。ここだけでも観る価値アリです。
それと、クライヴの次にクレジットされているジュリアン・ムーア演じる、「ジュリアン」。彼女は開始30分後くらいに殺されてしまう。彼女のファンとしてはこの扱いはどうだろうと思った。それだけ最後に言いたかった。
2009/03/06 22:38
ハローメロウ
トラックバックはこちらのアドレスから受付しています。トラックバックについて