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National Treasure 2 Book Of Secrets
2007/アメリカ/125分
出演:ニコラス・ケイジ ヘレン・ミレン ダイアン・クルーガー ジョン・ボイト エド・ハリス 
監督:ジョン・タートルトーブ

偏差値:53.0 レビューを書く

ニコちゃんのお宝探し日記 [60点]

このレビューはネタバレを含みます

おなじみ宝探し野郎ベン・ゲイツが、己のご先祖様にかけられた濡れ衣を晴らそうと、アメリカを飛び出して世界中を駆けずり回るというお話。懸念していた通り、風呂敷はかなり大きく広げられていた。ついにアメリカの大統領を誘拐しさえする!いくらご先祖様のためとはいえ、その展開はアリなのか。
シリーズのクオリティを保つためには、物語を複雑にするか、スケールを増すかしか方法がないが、残念ながら今作ではそれが良い方向に作用していなかったように感じた。この作品の上手い点は、背景をこじんまりとした範囲内に限定することで、観客を飽きさせずしらけさせない演出である。ゆえに、あまりに話のスケールがでかくなっていくと、ストーリーそのものが映画の手に負えなくなり、脚本のあちこちにあるほころびが大きくなってしまう。登場するキャラクターの中身を深める暇なぞあるわけもない。“そんなこと実際にできるわけないだろう”と、観客が我に返ってしまう瞬間ができるのだ。この類の映画では、観客をいかに心地良く騙せるかが生命線。第1作目では、その絵空事が絵空事だと感付かれないギリギリのラインだったというわけである。ベン・ゲイツお宝探し探検譚第2弾は、スケール感アップが逆に観客にしらけてしまう隙を多く与えることに繋がったという点で、シリーズものの難しさを痛感させられることになった。
とはいうものの、悪役にエド・ハリス様を配したり、初登場のベン・ゲイツのおかんにヘレン・ミレンが扮していたりと、相変わらず役者の豪華さは目を見張る。ミレン女史は、「クィーン」のようなエレガントな役柄もいいが、私自身は「カレンダー・ガールズ」や今作のような、チョイ悪おばさん的キャラクターを演じると生き生きするような気がする。ベン・ゲイツのおとんを演じるジョン・ヴォイトも、ひょっとするとあのボケっぷりは地かもしれないと思わせるほどナチュラル(笑)。まああくまでも娯楽作品ですから、彼らの高い演技力も、宝の持ち腐れではあるのだが。
とにもかくにも、頭を空っぽにして楽しめる映画を欲しているときには、格好のエンターテイメントを提供してくれる作品であることには違いない。前回同様、目のやり場に困るような裸シーンはないし、無駄な人死にシーンも出てこない。今回は世界各地の名所を目にすることも出来ますので、気軽に観光気分も味わえる。これなら、親子で安心して鑑賞できるでしょう。“インテリ冒険家”というには庶民的に過ぎるニコちゃんも、眺めているうちになぜか安堵感を覚えるようになってくる。彼のおでこから、目には見えねども癒しのα波が発せられていることに気づけばしめたもの。ニコちゃんのお宝探し日記を心ゆくまで楽しめるだろう。

2008/07/09 12:48

豆酢

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