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ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛

The Chronicles Of Narnia: Prince Caspian
2008/アメリカ/ウォルトディズニースタジオ
出演:ベン・バーンズ ジョージ・ヘンリー スキャンダー・ケインズ 
監督:アンドリュー・アダムソン
http://www.disney.co.jp/narnia/narnia2/

偏差値:57.9 レビューを書く 読者レビュー(2)

4兄妹の統治する平和な時代は去り、戦闘を好む人間が強大な力を揮っていた。
人間はナルニアの民を駆逐し、その存在すら信じなくなっていた。

あれから1年、ペベンシー家の四人兄妹は、再び戦時下のイギリスで過ごしていた。美しいナルニアで過ごした日々は誰にも語らず、胸にしまっていた。しかし、ある日、地下鉄のプラットフォームに立った4人の前に、角笛の音が響き渡り、4人はいつの間にかナルニアの砂浜に立っていた。懐かしいナルニア!彼らはこのナルニアにふたたび戻れたことに歓喜するが、その一見穏やかな世界が、不気味なほどの静寂に支配されていることに気付き始める。そして城跡を見つけた4人は、自分たちが統治していた時代から気の遠くなるような歳月が流れたことを知る。今はナルニア暦2303年−人間である戦闘民族テルマール人が強大な力をもってナルニアの民を駆逐し、魔法の国ナルニアは、歴史から葬られ、もはや伝説の物語として考えられていた。
テルマール人が支配する王国では、先王を亡くした若いカスピアン王子に代わり、叔父のミラースが摂政として権勢を誇っていた。しかし、ミラースは密かにカスピアン王子を亡き者とし、自分が王になる機会を狙っていた。ミラースの企みに気づいた王子の教育係コルネリウス博士は、王子を城から逃がし、人間が踏み入らない森に逃げ込むように告げる。「本当の窮地に陥った時、吹き鳴らしなさい。」博士から託された角笛だけを持ち、追手から逃げ惑う王子は森の中で不思議な生き物に出会う。その不思議な生き物こそ息をひそめて暮らし、命をつないでいたナルニアの民の生き残りだった。ミラースの配下に追い詰められた王子は、たまらず角笛を吹き鳴らした—。
角笛を吹けば救世主が現れる。その救世主こそ4兄妹、彼らは王子の吹く角笛によってナルニアに呼び戻されたのだった。しかし、彼らにとっての1年の間にナルニアでは1300年がたち、美しいナルニアが人間によって支配され、アスランがナルニアの民を捨て、去ったことを知る。やがて出会った4兄妹と王子は、人間の非情な行いを知り、人間と戦うことを決意する。そして、王子は美しく気高いナルニアの民に敬意を表し、正当な王位継承者として、自分が必ずナルニアに“平和”をもたらすと誓うのだった。その誓いの前に、ごく少数しかいなくなってしまったナルニアの住人たちも勇気を奮い起し、共に闘うことを決意する。一方、ミラースは、王子が森の中で生き延びていること、そして伝説のナルニアの住人たちが隠れ住んでいることを知り、その強大な力をもって森に総攻撃をしかける。圧倒的数とパワーを持つミラース軍対カスピアン王子、4兄妹率いるナルニア軍ではあまりに力の差がありすぎる。偉大なる王“アスラン”に救いの手を求めて探しに出るルーシーだが、”アスラン“の姿はようとして見つからなかった。そして今、決戦の火蓋が切られる。それは少数のナルニア軍にとって文字通りの命懸けの戦いとなるのだった—。

〜ディズニー史上初,“王子”の物語の誕生 ベン・バーンズ〜
シリーズ第2作の製作決定の瞬間からディズニー初の王子の物語となる本作品の主役、カスピアン王子役のオーディションが始まった。世界中を探し巡り、2年にも渡るオーディションの結果、選ばれたのは、ロンドンの舞台で活躍する英国人俳優ベン・バーンズだった。ベン・バーンズは、《王子の風貌を持つ》往年のハリウッド映画スターのような容姿だけでなく、製作陣がカスピアン王子に求める“人間弱さと強さの兼ね備えた気品”も持ち合わせていた。オーディションで彼に会った製作陣は、彼の“カリスマ性”と“類まれなるスター性”を称えた。加えて、舞台から映画へと新たな可能性を模索していたベン・バーンズ自身も、映画の中のカスピアン王子のキャラクター同様、成長過程の“未完の大器”であった。また、作品の要となるダイナミックなアクションシーンの数々も若い頃から舞台を踏んだ経験で培った、高い身体能力と不屈の精神で、殆ど全てのアクションをスタントなしで挑んでいる。
まさにカスピアン王子そのもの、という俳優ベン・バーンズの出現によって『第2章:カスピアン王子の角笛』の成功はより現実的なものとなった。事実、彗星のように登場したベン・バーンズに世界中の人々が魅了され、一躍ハリウッドスターの仲間入りを果たすこととなる。次回作『第3章:朝びらき丸 東の海へ』(仮題/‘10)での活躍も注目だ。

〜4カ国を駆け巡った空前のスケールの撮影!〜
空前のメガヒットを記録、世界中の人々を魅了した前作『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』のスタッフが再び結集し、『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』の撮影が始まった。ロケはニュージーランドのオークランド地方の美しい海岸での撮影に始まり、チェコ、ポーランド、スロベニアと併せて4カ国、期間にして、7ヶ月にも渡る空前のスケールで慣行された。スロベニアではクライマックス・シーンに用いる約40メートルの橋を2ヶ月かけて建設。スロベニアおよびチェコでは、軍隊の指揮官を雇って300人のエキストラに3ヶ月の軍隊訓練を行い、9メートルもの巨大な石像のセットのなか、雄渾な大決戦シーンが撮影された。ロケ撮影部分は全編の約3分の2をも占め、スタジオ撮影部分やCG映像との融合によって、大迫力の両軍激突シーンを生み出すことに成功した。
スタジオ撮影も桁はずれの大規模のセットの中実施された。「ヨーロッパのハリウッド」と呼ばれるチェコのバランドフ撮影所では、最大で6つのスタジオを使用。最も巨大なスタジオには、カスピアン王子がナルニアの森の民に初めて出逢う森のセット。そこには芝で覆われた広場を取り囲む植樹された森があり、その周囲を360度マット・ペイントの背景が取り巻いた。このような広大な森や、巨大な岩が威容を誇るアスラン塚内部のセットなどを造り込んだスタジオが並ぶなか、最も驚異的なのは、屋外にそびえる広さ6,000平方メートル、高さ6階建て、落下式格子門やバルコニー、中庭などを備えた荘厳なミラースの城。中世様式が美しいフランスのピエールファン城をモデルにデザインされ、インドから取り寄せた石材などを用いて200人のスタッフが15週間かけて築き上げた。城門の外には吊り橋、その向こうにはテルマール人が暮らす村までがリアルに作られ、壮大な映像を創造していったのだ。