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2010/日本/東宝
出演:志田未来 神木隆之介 三浦友和 大竹しのぶ 竹下景子 樹木希林 藤原竜也 
監督:米林宏昌
原作:メアリー・ノートン
http://www.karigurashi.jp/

偏差値:58.6 レビューを書く

床下の小人たち [75点] [参考:2]

小人が登場する児童文学と言えば愛読書である佐藤さとる著『だれも知らない小さな国』が真っ先に思い浮かぶのだが、残念ながら本作はその映画化ではなく、こちらも児童文学では有名なメアリー・ノートン著『床下の小人たち』の映画化作品である。

小人の少女アリエッティと心臓の手術を間近にひかえた少年翔の小さな交流を描いたものであるが、あまり派手な演出や難解な解釈はなく、初期のジブリ作品を彷彿させる。

宮崎駿が企画と脚本に回り、ジブリのアニメーターであった米林宏昌を監督に抜擢したことと、宮崎アニメでは定番の戦闘場面や表現は違ってもこれは戦闘場面だなと思える描写がなく、戦いとは無縁の人々を主人公とした物語であったのが幸いしたのかも知れない。

今や世界の宮崎となった宮崎駿監督作品は、規模の大小や作品ごとのアプローチは異なっても、体制と戦う反体制の人々を描いたものが多く、そうとは気づかずに観ている子供たちはどう受け止めているのだろと考えることがあった。

しかし本作にはそのような隠されたテーマはなく、人間に見つからないよう人間と共存している小人の家族の生活と、アリエッティのちょっとした油断から人間に姿を見られたことによって起きる騒動だけで作品が出来上がっているのに好感が持てた。

宮崎駿がどの程度まで本作に関わったのかは定かではないが、物語にこれまでの宮崎作品とは多少違った匂いがするところから、米林監督の判断に作品を委ねていた部分も多いのではないだろうか。

確かにジブリ作品=宮崎駿監督作品もいいのだが、これからのジブリを考えるとジブリを受け継ぐ人材の育成の意味もあって本作が作られたのかも知れない。

それならばもっと宮崎駿色を取り除いた作品にしてもらいたかったのだが、配給する側と多くの観客はそれを望まないのだろう。

一番気になったのは宮崎駿のこだわりを受け継いだような声優の人選で、本作でも残念ながらまたもや人気俳優の声が画面から聞こえてきたことである。

最近のジブリ作品の中ではこの声優陣は上手い方だとは思ったのだが、役者そのままの声で各キャラクターを演じられると、いくら上手く声をアテていてもその人の顔が思い浮かんでくるのがどうしても好きになれない。

出来ることならジブリ作品にも<超>日本語吹替え版を作ってもらいたいものである(笑)

2010/07/27 20:39

kira

参考になりましたか?

こんばんわ、kiraさん。

僕も土曜日に観に行ってきました。作品としてはなかなか面白い作品だと思います。監督も新人さんですしね。

気に入らなかったのは、やっぱり声ですね。特に大竹しのぶさんの棒読み。意地悪ばあさんに捕まってビンに入れられるまでの演技が、とても残念でした。

超日本語吹き替え版、いいですね。せめでDVDの映像特典でもいいので収録して欲しいですね。

tochiro (10/08/23 21:40)

tochiroさんコメントありがとうございます。

確かに大竹しのぶさんの吹替えはちょっと残念でした。
芝居ではかなりの演技派だと思うのですが、吹替えは勝手が違ったのでしょうかね(笑)

全体的な吹替えは最近のジブリ作品の中ではいい方だと思いましたが、やはり役者そのものの声で演じられるとアニメーションとしては抵抗がありますね。

声だけで役柄を演じ分けるプロの声優さんは凄いですね。

kira (10/08/27 16:01)

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