Inglourious Basterds
2009/アメリカ/東宝東和
出演:ブラッド・ピット メラニー・ロラン クリストフ・ヴァルツ ダニエル・ブリュール イーライ・ロス ダイアン・クルーガー ジュリー・ドレフュス マイク・マイヤーズ
監督:クエンティン・タランティーノ
http://i-basterds.com/
タランティーノ監督の本領発揮 [80点] [参考:1]
オープニングで流れる『アラモ』のテーマ曲。戦争映画なのに導入部のマカロニウエスタンっぽい演出(『アラモ』はマカロニウエスタンじゃなく正統派の西部劇だが。)がタランティーノ監督作品らしく、この曲に限らず全編に使われている様々な音楽が楽しい作品である。
戦争映画ではあるが物量作戦的な戦闘場面があるのではなく、レイン中尉(ブラッド・ピット)が率いるゲリラ部隊「イングロリアス・バスターズ(名誉なき野郎ども)」がナチスの兵士を次々と血祭りに上げて行くゲリラ作戦と、ナチスに家族を奪われた女性ショシャナ(メラニー・ロラン)によるヒトラーを筆頭としたナチス高官の暗殺作戦を描いたサスペンス映画である。
「イングロリアス・バスターズ」によるゲリラ作戦の手口はかなり残虐で、ブラッド・ピット目当てでこの作品を観るとちょっと痛い目にあう女性も多いのではないだろうか。
これはブラッド・ピットの映画ではなくタランティーノ監督の映画と最初から割り切っていればそれなりに楽しめるが、血や痛い場面が苦手な人にはちょっと辛い作品かもしれない。
上映開始から1時間以内に退場したら全額返金のキャンペーンからタランティーノ監督がこの作品にかける意気込みがうかがえるが、残虐場面に耐えきれずか上映開始から30分で2人が退場。これもキャンペーンのお陰ですね。
アメリカではタランティーノ監督作品としては最大のヒット作になっているそうだが、タランティーノ監督作品だから、と許せるような演出がないわけではない。
戦争映画とサスペンス映画とが結びついた傑作は数々あるが、そこに過剰なバイオレンスが加わるとどちらに主眼を置いて観ればいいのかが分からなくなってくる。
せっかくのサスペンス映画のドキドキ感が過剰なバイオレンス描写に浸食されているような気がしてならないのだ。
とは言え、それをなくしてしまうとタランティーノ監督作品らしくなくなるので、やはりこれはタランティーノ監督が好きか嫌いかで観る者の評価が分かれる作品ではないだろうか。
全編でずっぱりなのはブラッド・ピット…ではなく、ナチスドイツでユダヤ・ハンターの異名を持つランダ大佐役のクリストフ・ヴァルツであるが、彼の怪演ともいえる狡猾で憎々しいまでの演技は必見であり、完全にブラッド・ピットを食っている。
また、こんなことを書くと世界中の女性ファンを敵に回すかもしれないが、それにしてもブラッド・ピットなんだか恰幅がよくなってやたら老けたように見えてしまった。
前作『ベンジャミン・バトン』でCGで再現された美しいほどの青年時代のブラッド・ピットが目に焼きついているためによけいそう感じたのかもしれない。
同世代のキアヌ・リーヴスやトム・クルーズと比べると若かりし頃の面影はいずこ、といった感じであるが、これは幸せ太りなのか役作りのためのデニーロ・アプローチなのか、願わくば後者であると信じたい。
2009/11/29 19:26
kira
タランティーノのエッセンスが凝縮『イングロリアス・バスターズ』
2009年11月4日、東京国際フォーラムにて、『イングロリアス・バスターズ』のジャパンプレミアが行われ、クエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、ジュリー・ドレフュスが登場した。