ATOM
Astro Boy
2009/アメリカ/角川映画、角川エンタテインメント
出演:フレディ・ハイモア クリステン・ベル ネイサン・レイン ユージン・レヴィ ビル・ナイ ドナルド・サザーランド ニコラス・ケイジ
監督:デヴィッド・バワーズ
原作:手塚治虫
脚本:ティモシー・ハリス
製作:マリアン・ガーガー
http://atom.kadokawa-ent.jp/
アトムよお前もか [70点]
日本のアニメをハリウッドで映画化すると原作とはかなり解釈の違う異質な作品となってしまうのだが、『アトム』もそんなハリウッドの洗礼を受けた映画の1つになってしまったようである。
実写で映画化された『スピードレーサー』や『ドラゴンボール・エボリューション』と比べるとCG作品であった分だけまだキャラクターにオリジナルの匂いは残ってはいるが、それでも人物設定や時代背景などは原作とはかけはなれており、これがお国柄の違いと言うものだろうか。
以前テレビの特番で『アトム』のキャラクター設定を巡って原作者である故・手塚治虫氏のご子息の手塚真氏とハリウッド側とで相当な駆け引きがあったことを放映していた。
ハリウッドでは子供をターゲットにした作品の場合、主人公は観客よりも年上でなければヒットしないらしく、当初のアトムは我々の知っているアトムとはまったく別人のような17~18才の青年として描かれていた。(アトムと言うよりも成長したコバルトに似ていたな。)
ストーリーはある程度ハリウッドに任せていた手塚真氏や日本のスタッフもこれには猛反発し、話し合いを重ねた末、今回の映画に登場した原作よりもやや年上だがオリジナルの面影を残したアトムのキャラクターが誕生している。
そのような苦労を知った上でこの『アトム』を観たためか単純にアトムの顔が原作とは似ていないなどと言う批判をする気にはならず、むしろハリウッド側の圧力に負けずよくここまでアトムらしさを残せたものだと感心した。
ただし感心したのはキャラクター設定だけで、ストーリー的にはよくあると言うよりもよくありすぎる、どこかで観たような展開ばかりで、あえて『アトム』を主人公にして映画化する必要があったのだろうか、との印象は拭えなかった。
これからも日本のアニメがハリウッドで映画化されることはあるだろうが、日本の原作ファンはもちろん、世界中の原作ファンが観ても納得できるハリウッド版の作品ができることを期待したい。
2010/04/12 19:54
kira
トラックバックはこちらのアドレスから受付しています。トラックバックについて