2009/日本/ギャガ・コミュニケーションズ
出演:成海璃子 AKIRA マイコ 竹中直人 桐谷美玲 紗綾 波瑠 温水洋一 生瀬勝久 由紀さおり 沢村一樹
監督:竹中直人
http://yamagatascream.gyao.jp
抱腹絶倒のゾンビ映画 [85点] [参考:2]
その昔、ブルース・リーや遠藤周作の物真似をしたり、怒りながら笑う人など摩訶不思議な芸をするお笑いタレントがいた。
彼はいつしかコミカルな役からシリアスな役までこなせる上に主役も脇役もできる役者になり、こともあろうかNHKの大河ドラマの主役にまで登りつめた。
その傍ら映画監督にも進出し各界から絶賛される作品まで作ってしまった。
その男は竹中直人、『山形スクリーム』は彼の5年ぶりの監督作品であり、初の喜劇である。
元々がお笑いをやってた人なので笑いに関しては本領発揮と言わんばかりに弾けた作品になっている。
映画の内容は抱腹絶倒な究極のゾンビ映画であるが、無類の映画好きの彼だけあって、至るところに様々な映画のパクり、もといパロディがちりばめられており、それを見つけるのも楽しい作品である。
個人的に一番受けたのは『ブレードランナー』のうどん屋のパロディと、出演もしている竹中直人が一瞬口走った「アタッ」と言うブルース・リーの口癖であるが、それ以外にも笑いどころが満載で、今年一番笑った作品となってしまった。
出演者も豪華で、あの人がこんな役でと思わず身をのり出して画面を確認することもしばしばあったが、一番驚いたのは人気グループEXILEのAKIRAが何とも情けないが重要な役で出演していたことである。
またエロ男爵の異名を取る沢村一樹が喜劇でありながらもそのエロさを一切封印し、哀しい業を背負った落武者の亡霊を演じていたのが印象的であった。
落武者の亡霊やゾンビと対決する女子高生役の桐谷美玲、紗綾、波瑠もみんないい味を出しており、普通の女子高生役の成海璃子よりもある意味目立っていたが、何と言っても引率の先生役のマイコがとにかく笑わせてくれた。ちんすこう~!
映画を観たのは座席数が100席足らずの映画館であったが、あと数分遅ければ入場できないほどの盛況ぶりで、少人数だからこそ全員が一斉に笑うことができ、久しぶりに楽しい時間を過ごすことができた作品である。
しかし何でゾンビ映画なのに舞台が「山形」なんだろうと考えていたが、ふとあることを思いついてしまった。
昨年、死者の尊厳を描いて話題となり今年のアカデミー外国語映画賞を授賞した『おくりびと』の舞台も「山形」であり、同じ舞台で死者の尊厳などものともしないゾンビ映画を作ったこと自体が竹中直人監督の究極のパロディなのかも知れない。
う~んちょっと考え過ぎだろうか(笑)
2009/08/03 21:55