ミルク
Milk
2008/アメリカ/ピックス/128分
出演:ショーン・ペン エミール・ハーシュ ジョシュ・ブローリン ディエゴ・ルナ ジェームズ・フランコ アリソン・ピル ヴィクター・ガーバー デニス・オヘア
監督:ガス・ヴァン・サント
製作:ダン・ジンクス、ブルース・コーエン
脚本:ダスティン・ランス・ブラック
撮影:ハリス・サヴィデス
美術:ビル・グルーム
編集:エリオット・グラハム
衣装:ダニー・グリッカー
音楽:ダニー・エルフマン
http://milk-movie.jp/
ハーヴェイに会いたかった・・・ [90点]
この映画を見て感じたこと、それは「今という時代は、戦いの上に成り立っている」ということ。
世界には、理不尽で残酷な偏見がもっとたくさん存在するでしょう。
そして、戦う人、犠牲になる人たちも多く存在していると思います。
「ミルク」は、一目惚れでした。
特別ショーン・ペンのファンでもなかったし、彼の出演している映画が好きだったわけでもありません。
でも、予告編を見た瞬間心を奪われました。
ショーン・ペンという人の変貌ぶりに。
それ以来、見たくて見たくてしかたのなかった映画だったんです。
試写会で初めて見て、期待通りの作品であることに感動。
ハーヴェイ・ミルクという人物をもっと知りたくて、渋谷アップリンクファクトリーでドキュメンタリー映画「ハーヴェイ・ミルク」を鑑賞。
映画では語られることのなかった彼の姿と、映画のラスト、キャンドルライトの行進の意味の重さを知りました。
その後、あらためて「ミルク」を鑑賞。
やっぱり僕は、この映画が好きです。
ショーン・ペンの、ショーン・ペンとは思えない程の存在の変貌ぶりは、もはや演技の領域を越えているとさえ感じました。
そして、スコット役のジェームス・フランコ、フェニックス役のエミール・ハーシュ、ジャック役のディエゴ・ルナのなんと魅力的なこと。
特にジェームス・フランコは、演技といい役といい、かなりのハマリ役でしたね。
スパイダーマン3ワールドプレミアの時に一度会っていますが、あぁもう一度会いたいです。
そして、忘れてはならないのが、ダン・ホワイト役のジョシュ・ブローリン。
この映画はミルクを中心に描かれていますが、僕には彼がもう一人の主人公のような気がしてならなかった。
結果的にミルクを殺してしまいますが、マイノリティとは違うけれど、その苦悩や苦しみは、ハーヴェイのそれに近いものを感じました。
ハーヴェイとダンの違い、それは、ハーヴェイにはたくさんの仲間がいて、ダンは一人であったということ。
「孤独」とは、やはり悲しいものです。
そして不思議に思ったのが、「40歳になっても、何も誇れるものがない」と言っていたハーヴェイ。
なぜ急にあれほどの行動をとることができたのか?という疑問・・・。
そういう運命だったのか・・・?
それが何なのかわかりませんが、得てしてそういう偉業を成す人は早くに亡くなってしまいます・・・。
あまりにも悲しいことです。
一度でいいからハーヴェイに会いたかった、そう思わせる映画でした。
2009/12/30 23:30
depapepe
ドキュメンタリーを観るような作品 [90点] [参考:1]
1970年代のサンフランシスコでゲイである事を公表し、
その代表者として公職に着いた市民運動家の、非業の
死に至る8年間の軌跡を描いた作品。
随所に挿入された当時の映像と、ショーン・ペンを
はじめとする出演者達の渾身の演技によって、まるで
ドキュメンタリーを観ているかのような感覚に引き込
まれました。
ショーン・ペンというと『アイ・アム・サム』以外では
「街の顔役」的ないかつい役柄の多い俳優さんという
イメージが強かったので、当初この作品の配役を聞いた
時には、ミルク役よりもダン・ホワイト役の方では?と
訝ったものでしたが、物腰や仕草、おねえ言葉から髪の
毛の先まで、まるでミルク氏が乗り移ったかのようで、
オスカー獲得は大々納得ものでした。
余談ですが、『ミルク』よりも3ヵ月前にアメリカで
封切られたコメディ映画『トロピック・サンダー』の
中のロバート・ダウニーJr.の台詞に「ショーン・
ペンは『アイ・アム・サム』であまりにもマジに演じ
過ぎたからオスカーを逃したんだ」という部分があり
ましたが、同年度のアカデミー賞の蓋を開けてみれば、
この『ミルク』で「マジに演じた」ショーン・ペンは主演
男優賞に輝いたのに対し、『トロピック・サンダー』で
助演男優賞にノミネートされていたロバートの方は、
皮肉にもオスカーを逃しましたね・・・(^^;
2009/06/22 12:31
キキョウ
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