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おくりびと

2008/日本/松竹
出演:本木雅弘 広末涼子 山崎努 余貴美子 杉本哲太 峰岸徹 山田辰夫 橘ユキコ 吉行和子 笹野高史 
監督:滝田洋二郎
http://www.okuribito.jp/

偏差値:57.8 レビューを書く 読者レビュー(5)

納棺師(のうかんし)―それは、悲しいはずのお別れを、やさしい愛情で満たしてくれるひと

遺体を棺に納める“納棺師”。一見地味で触れ難いイメージの職業をテーマにしながらも、ユーモアを絶妙に散りばめて、愛すること生きることを紡ぎだす異色の感動作が誕生しました。ひょんなことから“納棺師”になった主人公が、さまざまな死に向き合うことで、そこに息づく愛の姿を見つめていきます。
メガホンをとるのは「木村家の人々」「僕らはみんな生きている」でユーモアを、「バッテリー」「壬生義士伝」で感動を届けてくれた、日本映画を代表する監督・滝田洋二郎。脚本には小山薫堂。人気TV番組「料理の鉄人」などの構成作家として活躍し、脚本を手がけたTVドラマ「東京ワンダーホテル」が大きな反響を捲き起こした彼の、初の映画脚本作品としても注目を集めています。そして主人公の心そのままに、時に激しく、時にやさしく、チェロの音色で織りなす感動的な音楽を手がけるのは、名匠・久石譲。また、物語の舞台は山形県庄内平野。名峰・鳥海山を背景に、美しい自然を四季の移ろいとともに叙情的に描き出しています。
人生に迷いながらも成長していく新人納棺師・大悟を演じるのは本木雅弘。現代に生きる日本人の等身大の姿をコミカルかつ繊細に演じ切ります。大悟の妻・美香を演じるのは広末涼子。夫の仕事に嫌悪感を抱きながらも、やがて彼を理解し尊敬していく妻を、透明感あふれる自然体の演技で魅せてくれます。そしてベテラン納棺師・佐々木を演じるのは、飄々とした風貌と深みのある演技で圧倒的な存在感を放つ山_努。さらに「さよなら、クロ」の余貴美子、「佐賀のがばいばぁちゃん」の吉行和子、「母べえ」の笹野高史など、多彩な演技派俳優が勢ぞろいし、名実ともに実力派キャストの競演が実現しました。
人は誰でもいつか、おくりびと、おくられびと――。
あなたは大切な人を、どう“おくり”ますか? そしてどう“おくられたい”ですか?
すべての人に普遍的なテーマを通して、夫婦の愛、わが子への無償の愛、父や母、肉親への想い、友情や仕事への矜持などを描き出す本作が、観るものに笑いと涙、そして大きな感動を、必ずや与えてくれることでしょう。
2008年秋――
ユーモアと感動が融和した異色作、納棺師の物語が私たちに、さまざまな愛を届けてくれます!

(ものがたり)
年齢問わず、高給保証!実質労働時間わずか。
旅のお手伝い。NKエージェント!!

「旅のお手伝いって、旅行代理店かな!?」
東京でオーケストラのチェロ奏者をしていたが、楽団の解散で演奏家への道をあきらめ、故郷の山形に戻ってきた主人公の大悟は、求人広告に願ってもみない好条件の職を見つけた。早速面接に向かった彼を待ち受けていたのは、なぜか棺桶が置いてある古びた事務所だった。ほどなく現れた社長の佐々木は、履歴書に目を通すこともなく大悟の顔を見るなり、一発で採用を決める。呆気にとられて、求人広告を持ち出して仕事の内容を尋ねる大悟。
「どんな仕事をすれば・・・」、「納棺」、「のーかん?」――佐々木は答えた。「あぁこの広告、誤植だな。“旅のお手伝い”ではなくて、安らかな“旅立ちのお手伝い”。NKは、納棺のNK」。納棺・・・それは遺体を棺に納める仕事だった。思いもよらない仕事に慌てふためく大悟だったが、佐々木に言われるがまま引き受けてしまい、妻の美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたと答えてしまう。
こうして、晩秋の庄内平野を佐々木とともに駆け回る、大悟の新人納棺師としての日々がはじまった――。
美人だと思ったらニューハーフだった青年、ヤンキーの女子高生、幼い娘を残して亡くなった母親、ルーズソックスを履いてみるのが憧れだったオバアチャン、沢山のキスマークで送り出される大往生のおじいちゃん・・・さまざまな境遇の死や別れと向き合ううちに、はじめは戸惑っていた大悟も、いつしか納棺師の仕事に理解を示すようになっていった。
そんな矢先、冠婚葬祭関係=結婚式場で働いていると勝手に勘違いしていた美香に、本当のことがばれてしまい、彼女は「汚らわしい!」と言い残して実家に帰ってしまう。
数年前に母親を亡くし、幼い頃に父親が失踪してしまった大悟にとって、唯一の家族であった彼女が離れていったことは大きなショックであったが、真摯な態度で仕事にのぞむ信念はゆるがず、彼は彼女が戻ってくるのを待つことにした。
季節はうつろい、庄内平野に春が訪れようとしている時、納棺師として充足感と誇りを胸に刻みはじめていた大悟のもとに、さまざまな知らせが舞い込んできた。美香の懐妊、幼馴染みの母親の死、そして、30年間ゆくえ知らずだった父親の死!
はたして大悟は納棺師として、そして夫として人として、身近にいるかけがえのない人々の生と死に、どのように向き合えるのだろうか!?

9月13日全国ロードショー

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