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潜水服は蝶の夢を見る

Le Scaphandre Et Le Papillon
The Diving Bell And The Butterfly
2007/フランス・アメリカ
出演:マチュー・アマルリック エマニュエル・セニエ マリ・ジョゼ・クローズ アンヌ・コンシニ パトリック・シェネ 
監督:ジュリアン・シュナーベル

(データベース登録者:kira

偏差値:61.4 レビューを書く

愛とユーモアのある日々 [90点] [参考:1]

※ネタバレを含むレビューです。
雑誌ELLEの編集長、家族、恋人、友人…
人生を謳歌していたジャン=ドミニク・ボビー。
皆からジャン=ドと親しまれていた彼に突然災難が降りかかる。
脳梗塞によりロックドイン・シンドローム(閉じ込め症候群)という重い障害を患い、全身麻痺となってしまう。
唯一動かせるのは左目のまぶただけ。
そんな彼の20万回にも及ぶまばたきにより綴られた自伝。

最初、絶望に陥っていたジャン=ド。
自分を重い潜水服を着た状態に例えていた。
しかし、まばたきによるコミュニケーション(まばたき1回がYes、2回がNo、ローマ字を読み上げてもらい、該当するローマ字のときにまばたきをし単語を完成させ文章にするという方法)を得てからジャン=ドは少しずつ変化していく。

僕は自分を哀れむことを止めた
想像力と記憶は衰えていない
無限の想像力を持っている
想像力と記憶で僕は潜水服を抜け出せる
蝶のように自由に羽ばたける
これが僕だ

そして自伝を綴ることを試みる。

前半はジャン=ドの左目からの視界の映像
ジャン=ドのリアルな心情を感じることができる

左目という限られた視界からのジャン=ドの情景描写や
劇中のセリフ一つ一つが詩のように美しく、
心にズシンと訴えかけてくる
しかし重い場面の中にユーモアが溢れていてステキである
愛とユーモアに溢れている

生きることや人生のあり方について深く考えさせられる映画

自由を強く求めて
自分は自由がない、
そう感じて生きてきたけど
実は自分からその自由に手を伸ばそうとしていなかっただけで
というか今の状態がすでに自由に溢れていて
それに気づかないフリをしていただけだったのかも
色々と考えさせられた

「僕は生きている
  話せず身体も動かせないが、確実に生きている。」

もっと人は'生きている'ことを実感しながら
生きていくべきなんだろう
ジャン=ドが教えてくれた

2008/12/07 22:39

yachi

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生きること、生かされること [90点]

※ネタバレを含むレビューです。
主人公の目から見た周囲のみが映される冒頭の30分、瞬きをするのがおしいくらい画面を凝視してしまいました。

突然の脳梗塞で倒れ、“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”となり、左目の動き以外、体が全く動かなくなったELLEの元編集長ジャン=ドミニク・ボビーが自分の意思を伝える方法は左目の瞬きだけ。

言語療法士が繰り返すアルファベットのどこで彼が瞬きをしてどのような意思を伝えようとするのか、まったく画面から目を離すことができませんでした。

意識や思考は鮮明なのにそれを伝える術が左目の瞬きだけというもどかしさ。
時折映される重い潜水服をきて自由に動くことができずに水中に漂う彼の映像もそのもどかしさを効果的にあらわしてました。

何万回も繰り返されたその瞬きだけで自伝をしたためられたのは、彼だけではなく周囲の人々の忍耐的な協力があったからこそできたものですが、これが実話であることの驚きと、今こうして健康に暮らしている自分への感謝を改めて感じさせられた作品でした。

2008/07/13 09:24 (2009/11/07 06:34修正)

kira

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