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2013/日本/125分
出演:生田斗真 松雪泰子 二階堂ふみ 太田莉菜 江口洋介 
監督:瀧本智行

(データベース登録者:まっつぁんこ

偏差値:53.8 レビューを書く

原作を超えたか? [55点] [参考:1]

このレビューはネタバレを含みます

原作は2000年に乱歩賞を受賞し、評判の高かった首藤瓜於氏の作品である。
乱歩賞もパワーダウンしていて殆どスルーしているのだが、「脳男」は感性にひっかかるものがあり、リアルタイムで読んだ。





原作を読み、これから映画を観る方は特に、以下ネタバレしますので真っ新な状態で観たい方はご注意ください!





その時、一番印象に残ったシーン。
それは、緑川による愛宕医療センター襲撃のクライマックス。
茶屋、鷲谷と鈴木一郎が本館のメインフロアに通じる通路に面した部屋に玲子という子供が爆弾つきで監禁されているのを発見。
まわりに細いワイヤーがはりめぐらされており、常人がトラップを回避して玲子を救出するのは不可能。
鈴木一郎は「脳男」らしいロボットのような動作で玲子を救出するのである。

「鈴木が右手をあげ、前方にのばした。顔を下に向け、頭と腕とを同じ高さにした。それから右足をもちあげて膝を曲げ、曲げた膝を前につきだすようにして床と水平に回転させはじめた。鈴木の足は見えない障害物を避け、ゆっくりと九十度回転して体の前にでた。ふつうの人間なら片足で立っているだけでもむずかしい姿勢を少しの動揺もなく保っていることにも真梨子は驚かされたが、しかしさらに驚いたのは、鈴木が後方に残った手足を動かすとき、手足のほうには目を向けることさえしなかったのにもかかわらず、顔よりも後方にある手足がまるで独立した生き物のように目指す方向を探りながら仕掛け線を避けて、なめらかに床に着地するのを見たときだった。鈴木の動きは、あらかじめ一連の動作をプログラムされた機械のように正確で寸分の狂いもなかった。部屋の中央を過ぎ、さらに進んでいく鈴木の一挙手一投足を真梨子は固唾を呑んで見守った。」

ワイヤーをくぐり抜けて玲子にたどりつき、彼女を抱えてふたたびワイヤーを抜けて戻ってくる。
「脳男」で最も印象に残ったこのシチュエーション。
まるごとカットされていました。
映像化が難しかった故なのか、「脳男」のキモが抜けてしまった。(笑)

原作では緑川は男だったものが、妙な女子二人組におきかわり
染谷将太のエピソードがつけくわわっていた。
あまり成功していたとは思えないが、それでもそこそこ面白い映画になっていたのは原作の力だろうか?

脳男Ⅱは指し手の顔という題名で既に刊行されている。
こちらもなかなか面白い作品で、敵役がパワーアップしているので映画化したら面白い作品になると思う。
ぜひ生田くんに続投してもらって、今度は原作に忠実に映画化してもらいたいものだ。

2013/02/19 19:04

まっつぁんこ

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