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2010/日本/東宝/138分
出演:木村拓哉 黒木メイサ 柳葉敏郎 緒形直人 西田敏行 高島礼子 堤真一 橋爪功 池内博之 マイコ 矢柴俊博 波岡一喜 山崎努 
監督:山崎貴
http://yamato-movie.net/

偏差値:51.2 レビューを書く

アニメとは違う魅力 [75点] [参考:1]

タイトルは『SPACE BATTLESHIP ヤマト』ですが、テレビアニメからのファンとしてはチケット売場で思わず『宇宙戦艦ヤマト』1枚と言ってしまいましたね(笑)

ストーリーはテレビ版の『1』に映画『さらば宇宙戦艦ヤマト/愛の戦士たち』を足して有名なSF映画などで見たことのある名場面をちりばめたような作品でしたが、なぜか『宇宙空母ギャラクティカ』の印象が強く残りました。

ただイスカンダルまでの往復29万6千光年の旅を2時間18分で描ききるのにはちょっと時間が足りなかったようで、できれば3部作、いやせめて前後編の2部作にして、もう少しじっくりと『ヤマト』の航海を描いていればもっと感動的な作品になったような気がするのですが、とにかく展開が早すぎてストーリーに奥行きと重みがあまり感じられなかったのが残念でした。

『宇宙戦艦ヤマト』の名前は知っていてもストーリーを詳しく知らない人なら、邦画のVFXもなかなか凄いぞと思える作品で、海外での公開を視野に入れているのもなるほどなとうなずける映像もあるのですが、『宇宙戦艦ヤマト』を知っている人ほど違和感を持つ作品でもありますね。

原作のある作品を映画化するとどうしても違和感が残るのは仕方のないことですが、それにしても本作はアニメでお馴染みの台詞や名場面をこれでもかと詰め込み過ぎたのではないでしょうか。

確かに『宇宙戦艦ヤマト』の有名なセリフや名場面をできるだけたくさん使いたい気持ちはよく分かるのですが、それはここぞという場面で使ってこそ心に焼きつくような効果があるような気がしました。

とは言っても『宇宙戦艦ヤマト』ファンとしては、CGであってもアニメとは違うヤマトの雄姿を映画館の大画面で観ることができたのは大満足でした。特に埋もれていた『戦艦大和』が『宇宙戦艦ヤマト』として甦り、荒廃した大地を飛び立つ場面はアニメにはない迫力でしたね。

また本作では使われないだろと思っていたアニメと同じテーマ曲が流れた時は宮川泰の『宇宙戦艦ヤマト』の音楽は名曲だとな改めて感じました。できれば全編にアニメの音楽を使って欲しかったところです(笑)

ただ予告編で映し出されたガミラス戦艦の異形からちょっと嫌な予感はしていたのですが、本作でのガミラスとイスカンダルの解釈は予想外と言うか、ほとんど目が点になりました。
上映時間の制約があるにしても、あの描き方は賛否の分かれるところでしょうね。

また『宇宙戦艦ヤマト』の雄姿よりも古代進と森雪の恋愛描写が多かったのも気になりました。ベタな恋愛場面をもっと減らして、ここはタイトルどおり『ヤマト』の戦う場面を増やして欲しかったですね。

あとCGによる『ヤマト』の外観の緻密な作り込みに対して艦内が意外とチープだったのも気になりましたが、『スターウォーズ』も初めは艦内の描写も似たようなものだったのでそこはよしとしましょう(笑)

『宇宙戦艦ヤマト』への思い入れが強い者としては不満な点もありましたが、それでもけっこう泣けました。ただそれは『SPACE BATTLESHIP ヤマト』で泣けたのではなく、アニメの音楽が流れ、アニメと同じ台詞が聞こえると本作にアニメ『宇宙戦艦ヤマト』がオーバーラップして泣けたのが正確なところですね(^^;

あのワープの描写はどうなのとか、波動砲の撃ち方が気に入らなとか、他にも突っ込みどころは満載ですが、実写で甦った『宇宙戦艦ヤマト』の雄姿はぜひ映画館の大画面で観てほしい作品です。

2010/12/16 18:58

kira

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