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3:10 to Yuma
2007/アメリカ/シナジー/122分
出演:ラッセル・クロウ クリスチャン・ベール ピーター・フォンダ ベン・フォスター グレッチェン・モル ダラス・ロバーツ アラン・テュディック ローガン・ラーマン ケヴィン・デュランド 
監督:ジェームズ・マンゴールド
http://www.310-k.jp/

偏差値:58.9 レビューを書く 解説

男なら、やらねばならない [95点] [参考:2]

逮捕された大列車強盗団のボスと、彼を目的地まで護送する仕事を引き受けた牧夫の運命を描いた西部劇。

西部劇といったらハリウッドの黄金時代には最も人気のあるジャンルのひとつだったのに、60年代あたりから衰退し、これまでに何度も何度も絶滅の危機に瀕しては、ちょこちょこと傑作が生み落されて来た。『3時10分、決断のとき』は『許されざる者』以来となる西部劇の傑作である。アメリカでは公開されるや初登場1位の大ヒットとなり、批評家からも絶賛されたが、日本ではなぜか公開する配給会社がつかず、2年以上ブランクをおいてようやく公開する運びとなった。

渋い音楽(マカロニウエスタン風)、土臭い映像、これぞ西部劇といわんばかりの、頭にドがつくほどの西部劇になっているが、出来栄えに関しては文句なし。今からしてみるととても古風な作りになっているが、今風の作りじゃない分、カメラも編集も画的に派手なハッタリもなく、純粋にストーリーでひっぱっている。これはもともと1957年の作品のリメイクで、一言で勧善懲悪と片付けられない深いストーリーが、当時にしてみれば異端的と言われていたものである。当時は異端なストーリーでも、今にしてみるとこの善悪感はかなり正統派。正義はとことんかっこいいし、悪はとことん怖い存在に見える。ハワード・ホークス以来の熱き男のロマンを見ることができる。

一般人のレビューなどを読んでみると、どうも女性にはあまり受けていないが、男性の多くは高得点をつけているのが目立つ。男受けするストーリーというわけだ。たしかにこれほど男臭い映画は近年なかった。でも女性にわからないけど男たちならわかる世界というのは、男として自分が男でいることが結構気分が良かったりする。

ラストシーンは思わず拳をぐっとにぎりしめながら見入った。本当に見ているこっちまで怖いと思ったし、本当に心臓がバクバク破裂しそうになったが、なんというか、主人公二人の男の生き様をかけた意地に胸をうたれて涙があふれ出て来た。映画を見終わった後も、周りの人達は「かっこいいね」、「しびれるね」とそんなことをつぶやいていた。人の良心とは。人の尊厳とは。これはそういうことを考える映画だ。

ニ大スターが共演しているが、二人とも役のイメージにぴったりで、すこぶる良い。大悪党のラッセル・クロウの完璧なまでの銃さばき。その無敵ぶり。鋭い眼光。まったく惚れ惚れする。クリスチャン・ベイルは冴えない牧夫役だが、男のプライドをかけて立ち上がる。「男ならダメだとわかっていてもやらねばならない」という生き様に泣かせる。

子供の頃、アニメの主人公に憧れたものだが、50年前の子供たちは、きっとこういう映画の主人公に憧れたのだろう。男なら何歳になってもこういうものはいいものである。

2009/08/03 05:33 (2009/08/04 04:35修正)

シネマガ管理人

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しびれました!

jake (10/01/11 02:20)

大好きです!女でもオトコ泣きします。

kirara1010 (11/09/26 22:52)

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