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Valkyrie
2008/アメリカ・ドイツ/東宝東和/120分
出演:トム・クルーズ ケネス・ブラナー ビル・ナイ テレンス・スタンプ トム・ウィルキンソン エディ・イザード クリスチャン・ベルケル トーマス・クレッチマン ジェイミー・パーカー 
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー、ネイサン・アレクサンダー
音楽:ジョン・オットマン
http://www.valkyrie-movie.net/

偏差値:52.6 レビューを書く 解説

ドイツ語が気が付くと英語に [89点] [参考:2]

賛否両論あるようですが、僕はこれはかなり面白い部類の映画だと思いました。久しぶりに硬派で骨太の戦争映画を見た気になりましたね。

ドイツ語のタイトルが気が付くと英語のタイトルになっていて、トム・クルーズのドイツ語が気が付くと英語にフェードしていく開巻から傑作の確信がありました。

政治家の暗殺を描いた実話といったら僕は「ジャッカルの日」を思い浮かべてしまいましたが、内容は全然違いました。「ジャッカルの日」が虎視眈々と狙って行くという感じならば、「ワルキューレ」はそれをやるしかないという、何かそういった緊迫感に押し潰されそうになりながらも、やらねばならぬというい使命感に燃える感じに胸が熱くなりました。

恐らく賛否両論に別れたのは、演出力のせいだと思います。カメラとか編集をとってしても、説明不足というか不親切なところが多く、物理的な配置関係など状況がわかりづらかったので。セリフも結構遠回しに話していることが多いので、ちょっと気を抜くと大事なセリフを喋っていたことを見落としてしまいます。結構集中力を要する映画だと思います。でもその分、がっつり映画を見た達成感のようなものを得られる重厚なサスペンス映画になっていると思いました。

実話なので、結果がわかっていてもやっぱりハラハラさせる。その手腕はさすがだと思いますね。本作は主に三部構成に分類できて、作戦決行以前の第一部、作戦決行進行中の第二部、作戦決行後の第三部。いずれも素晴らしい出来です。いざ決行の時を描いたシーンも惚れ惚れしますが、僕は暗殺に失敗してからを描く第三部が一番ハラハラしました。

キャスティングがいいですね。みんな見事に役にはまっています。トーマス・クレッチマンとかどこからみてもナチスの人に見えますもんね。映画ファンなら、これが物凄い豪華キャストだということは十分わかっているのですが、かなり地味なキャスティングなせいか、その豪華さがあざとくありません。それゆえにトム・クルーズの存在感が光って、かなりかっこいいです。見終わってからしばらくしてじわじわと来る映画ですね。

2009/06/18 23:51

シネマガ管理人

参考になりましたか?

英語以外の言葉が途中から英語に変わっていくのはハリウッドではよくやりますよね。

『レッドオクトーバーを追え』もショーン・コネリーが初めはロシア語を話してますが、途中から英語に変わっていきます。

これは観客には英語が聞こえていても映画の中ではドイツ語やロシア語で喋ってるんだよ、という映画の約束事なんですね。

ここに目くじらを立てる人にはこのての作品は楽しめないかも知れませんね。

kira (09/06/20 14:03)

>kiraさん

「SAYURI」もそうですね。最初日本語なのに途中から英語です。父に「SAYURI」を見せたら日本人なのに英語を話していたことに疑問を抱いていました。
アメリカでは当たり前のことなのになあ。
「ワルキューレ」はその点、タイトルのディゾルブの見せ方がかなりかっこよかったです。

シネマガ管理人 (09/06/20 17:18)

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