明治大学にて『チェ』2部作の会見が行われる

チェ会見

【ギャガ】1月10日(土)より、革命家チェ・ゲバラの半生を描いた大作『チェ』2部作の前編『チェ 28歳の革命』が公開される。

公開を前にして、去年12月18日(日)、明治大学にて300人の学生達の前で、『チェ』2部作の記者会見が行われ、主演のベニチオ・デル・トロ(41)と、スティーヴン・ソダーバーグ監督(45)が登壇。学生達の質問に答えた。デル・トロは4年ぶり、ソダーバーグは実に15年ぶりの来日である。この日の司会は、ゲバラの大ファンという明治大学OBの大仁田厚(51)が買って出た。

デル・トロは役柄でこだわったことについて、「プロデューサーに、チェに似てるといわれて始まったが、本当にチェに似せることにこだわり続けていたら正気を失っていたと思う。もしこれが存在しない役柄であれば、上手下手に限らずなんらかの形になるが、彼は存在した人だから、声や仕草を似せられても、彼になることは不可能だ。俳優としては、シーンを理解して、自分がどうスタートし、どの方向に向かってどう撮り終えるか、演技の面から学んだことを自分の解釈で投影して、あとは監督と編集に任せた」と語った。

監督は映画作りについて、「監督には二種類いると思う。ひとつは、あるスタイルを選んで、どの映画を作るときも同じスタイルで作る監督。もうひとつは、ストーリーを選んで、そのストーリーに合わせてスタイルを選択する監督。私は後者の方だ」と語り、2部作それぞれの作り方については、「私は2部作を作る上で、ゲバラ自身が残した書き物に見いだせる声を投影したいと思った。1作目は、キューバ革命についての本をもとにしている。どのような具合で革命を勝ち取ったのか、その力学を俯瞰したような本だ。これを映画にする上では通常の撮り方がいいと思った。対して2作目の方は、彼が残した日記をもとに作っているが、この日記については距離をおいたところから全体を見下ろしているような態度がない。彼自身、次の日に何が起こるかもわからない状態で書いた日記だから、映画も鑑賞者をハラハラさせ、なんらかの脅威を感じさせるような作り方がいいのではないかと思った」と説明した。

ある記者から「監督自身のフィルモグラフィとしては、どちらが先の作品になるのか?」と質問がぶつけられると、監督は「変わった質問だね」と苦笑していたが、「この映画はふたつでひとつの映画になっているから、どちらが先かは関係ない。ひとつの映画を作るとき、もうひとつの映画についても考える必要があったからだ。例えば、温かい色を1作目に使うとしたら、その対比として、2作目には冷たい色を使うという具合にね」とうまく返した。

また、「ゲバラが生きていたらどのような感想を言って欲しいか」という質問に対し、監督は「私たちが努力したことについては認めてもらえると思う。実際に旅をして色々な人たちに話をきいたし、彼の書いたものも色々読んだ。真実を掘り起こして歴史を忠実に描いたその努力には敬意を払ってもらえると思う。でも生きていたなら、こんな映画を見るよりも、もっとましなことをして欲しいね。もし東京に来たなら、ぜひリッツカールトンホテルに泊まってもらおう」とおどけて見せた。

学生から「二十歳の頃は何をしていたか」と質問されると、監督は「ちょうど映画を作り始めて7年目だった。大学生だったけど、学校には行ってなかったな。おっと、こんなこと大学生の前で言っていいのかな(笑)」とまたおどけて答えたが、「私はとても幸運だったと思う。若いうちに自分が本当にしたいことを見つけることができたし、それを支援してくれる家族がいたからね。私はルイジアナ出身で芸能界に知人がいなかったから、自分にできることはただ一生懸命やることだった。いつかは映画を作る機会に恵まれるのではないかと信じていた」と語ると、学生達もひしひしと感動していた様子だった。

デル・トロも、「二十歳の頃、俳優になりたいと決めた。大学では、演劇のクラスをとったことで演劇にどっぷりハマったよ。家族には支持されなかったけどね。二十歳という年頃は夢とロマンに溢れている年頃。色々なことを決めるのに最適な時期だ。自分の好きなことに向かって突き進んで欲しい」と学生達を勇気づける一言を贈った。

最後に手を挙げたのは、何と北京オリンピック柔道金メダリストの石井慧(22)。「先日柔道界でプチ革命を起こしました明治大学4年、石井慧です。お二人は今まで革命を起こしたことはありますか」と大きな声で質問をぶつけた。監督は「まだです(笑)」と一言返事。デル・トロは「革命は大きなもの、小さいもの、色々あると思う。私は俳優になるとき家族との軋轢があったが、それが私にとっての革命だった」と答えた。

ギャガ・コミュニケーションズと日活の共同配給で、『チェ 28歳の革命』は1月10日(土)、『チェ 39歳 別れの手紙』は1月31日(土)より、日劇PLEXほか全国ロードショー。

大仁田厚
司会を務めた大仁田厚と進行役の伊藤さとり

チェ会見
学生席から質問をする石井慧

ベニチオ・デル・トロ
ベニチオ・デル・トロ

チェ会見
スティーヴン・ソダーバーグ監督、ベニチオ・デル・トロ

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2009/01/05 15:46

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