ミア・ファロー (今週のスター)

風変わりだが、確実に女性の共感を得た
 どこかしら不思議な雰囲気がある女優だ。かつては公私共にウディ・アレンのパートナーで、アレン映画の常連女優だった。僕は学生の頃、ウディ・アレンのセミドキュメンタリー・タッチのドラマに出てくるような人たちが、典型的なアメリカ人のイメージだと思っていたが、えらい勘違いをしたものだ。ミアこそ、当時のスター像そのものだったというのに。
 ニューシネマの台頭と共に、「風変わり」と表現される女優たちが続々と登場し、その中でミア・ファローは「ローズマリーの赤ちゃん」(68)で、スターらしからぬ不安定な顔つき体つきで登場し、一躍有名になった。地味なところで才能を発揮するのが、その当時のスターの成功条件だった。たしかに、ムチムチのセクシー美女が主演したところで、硬派な観客たちの精神的共感を得ることはできないだろう。しかし、ミア・ファローが出てくると、女性客たちもすんなりと感情移入ができるのだった。よくみると妙に色気があるし、影に秘めたる魅力がある。「カイロの紫のバラ」(85)の評価がいまだに高いのも、監督がアレンだったからというよりは、主演がミア・ファローだったからだろう。映画の価値を女優が決めるのは、ミア・ファローの作品に言えること。女性映画の主演を張れる数少ない女優の一人だ。
 もっとも、僕のようなビートルマニアにとっては、ビートルズと一緒にインドで瞑想した女優という印象の方が強かったりもする。非常に音楽業界と縁が深い女優である。

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