マット・デイモン (今週のスター)

地道に地道に着々と
 マット・デイモンは、アメリカン・ドリームの体現者だと思う。アメリカには夢があり、誰しも成功するチャンスがあるということを初めて教えられた俳優だ。これは一昔で言えばシルベスター・スタローンにも通じるが、僕がリアルタイムで成功していく過程をずっと見てきた俳優はマット・デイモンが初めてである。
 彼は子供の頃「スター・ウォーズ」を見て映画俳優になることを決意したという。そして演技教室に通い、舞台劇にも出た。地道に努力して、その才能を認める人が増えてきて、端役だが17歳でついに映画デビューを果たす。これだけでも凄いことだが、その後も彼は順調に映画に出演していった。でもまだまだ甘かった。そこで彼が考えたのが、自分で脚本を書き、それを売り込むことだった。そして友達のベン・アフレックと共に「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(97)の脚本を執筆。なんとこれがアカデミー賞に輝いた。僕も「え!こんな若造が書いた脚本でもアカデミー賞を取るのか!?」と本気で驚いたものである。何しろ当時は日本のメディアで"マット・ディロン"と誤表記されたことだってあったくらいだ。しかし自分で自分の道を切り開いた努力は称賛に値する。お陰で彼とベン・アフレックは仲良く映画スターの仲間入りに。お互いもともと才能はあったのだろう。しばしば二人の共演作が目立ったが、ヒット作の本数を考えると、今のところマット・デイモンに軍配は上がる。
 正直言えば、マット・デイモンのことは、僕は昔あまり好きではなかった。拒否反応さえあったかも。というのも「リプリー」(99)で、アラン・ドロンが演じた役と同じ役を演じていたから。作品自体は面白かったけれども、ハンサムの代名詞であるアラン・ドロンと比べると、童顔の彼では相当なギャップを感じたものだ。
 ところが「ボーン・アイデンティティー」(02)で嘘みたいに大ヒットを飛ばす。筋肉ムキムキで、いつの間にやら肉体系の俳優としても活躍してるではないか。凄いと思った。一歩また一歩と、彼はスターの道を歩んでいく。そして「チームアメリカ・ワールドポリス」でもおちょくられるほどの俳優になった。ここまできたらもう立派。
 「オーシャンズ12」(04)で来日したときは、ジョージ・クルーニーやブラッド・ピットと対等の立場で紹介されていたし、インタビューなどすごくノリノリ明るかったのが印象的であった。
 「ブラザーズ・グリム」(05)ではもっと落ち着いた感じがある。マット・デイモンって、こんなにハンサムだったっけ?と思った。

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