マギー・スミス (今週のスター)

 イギリス国内では現在最も偉大な女優である。
 52年から舞台で活躍し、いくつかの賞を取る。中でもシェイクスピアの舞台劇「オセロ」のデズデモーナ役は高く評価されて、その映画版「オセロ」(66)で映画業界に本格的に進出。気高い貴婦人役からコミカルなおばちゃん役までそつなくこなし、オリビエと並称される実力派女優となる。

 我々映画ファンにとっては、若い頃よりも、おばちゃんになってからのスミス女史が馴染みが深いと思う。「名探偵登場」(76)、「ナイル殺人事件」(78)は傑作だった。「カリフォルニア・スイート」(78)も名演だった。
 ここ10年間も「天使にラブ・ソングを・・・」(92)、「秘密の花園」(93)など、いろいろな映画で際だつ脇役を演じている。ちなみにこの頃「フック」(91)にも出たが、何を隠そうスミス女史はかつてピーター・パンを演じていた経験者なのだった。

 役柄としては先生役っぽいものが似合うようだ。アメリカ映画にもよく出ているが、イギリスのおばちゃん役ときたら、まずは彼女が第一候補になるだろうからね。これからもずっと現役でしょう。あの英国訛り、最高です。

 英国の名優が全員参加しているのではないかと思ってしまうほど超豪華なオールスターキャスト映画「素晴らしき戦争」(69)では、スミスは若者たちの前でコケティッシュな踊りを披露するおばさんを演じている。ハスキーボイスで「誰でも男にしてあげるわよ」と兵士たちを呼びかけるインパクトは強く、わずかな出番でありながら、あれだけ沢山の役者達の中でも誰よりも印象的な演技であった。

 老スミスもお茶目で可愛いけど、ぜひ若い頃のスミスも見てもらいたい。変な格好してないのに、何だか不思議と色っぽい。一番のオススメは「ミス・ブロディの青春」(69)。やはり学校の先生の役。何と言っても主演である。出だしの自転車からもう圧巻。衣装もオシャレで、ヘアスタイルもチャーミングな感じ。思わず髪をなでたくなる。あのスタイルは今でも流行りそう。きっと好きになる。ぜひご覧あれ。

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