マイケル・ケイン (今週のスター)

英国一の大スター

 マイケル・ケインは、過去35年間で、最も人気のある英国役者である。地味ながらも、コメディにシリアスに何でもこなす演技派で、あくまで”イギリスの”俳優としてあり続けていることが、もう一人の英国スター・ショーン・コネリーと違うところだ。顔といい喋り方といい態度といい、いかにも”イギリス”ってな印象がする。 
 ほとんどの英国俳優がそうであるように、マイケル・ケインも舞台から映画に転身した俳優だ。映画に入って初めて当てたのは「アルフィー」(66)。72年には名優ローレンス・オリビエと「探偵スルース」で一対一の演技対決をした経験もあり、オリビエとは互角の実力者だということをアピールする結果となる。舞台で培った演技力を、誇張することなく映画風に自らを演出した才能は、それこそ偉大だ。


 助演男優賞取ること2回

 演技についてはこだわりの多いケインだが、彼は「ハンナとその姉妹」(86)ではアカデミー助演男優賞を受賞している。助演賞は主演賞よりも取るのが難しいと言われている賞で、彼が伊達に演技を語る役者ではないということを証明した。そして先月、再び二度目の助演賞を受賞。意外な結果と思われたが、彼のそのノーブルなスピーチを聞いた後は、”やっぱり彼が取って正解だった”と、みんなが思い直した。そのスピーチは、先月のセレモニーのハイライトだったといえよう。

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