ポール・ムニ (今週のスター)

 作品数は少ないけれど、歴史的な大物俳優である。特殊メイクにより顔を変えて、パスツールの物語「科学者への道」(36)や文豪エミール・ゾラの物語「ゾラの生涯」(37)などで、偉人達の生涯を演じて、アカデミー賞の常連になり、ハリウッドでは最初の伝記映画スターみたいに紹介されて人気があった人である。
 しかし今となっては、「暗黒街の顔役」(32)、「仮面の米国」(32)など(2作ともモデルとなる人物はいる)、暗黒映画のスターだった俳優という風に言われることが多くなった。犯罪映画はアメリカの誇りみたいなもの。非の打ち所のない「暗黒街の顔役」と「仮面の米国」の2作は、アメリカ映画史に燦然と輝く名作中の名作である。この2作のお陰で、死後30年以上経つ今でもムニは若い映画ファンから尊敬される存在である。

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