ポール・ニューマン (今週のスター)

演技の概念を塗り替えた名優

 弱ったな。ポール・ニューマンは代表作が多すぎるので、どこから話せばいいのかわからないな。「スティング」とか「明日に向って撃て!」とかが有名だけど、その2本を見たくらいではニューマンの良さはわからない。まだ序の口ってか。とにかく凄い役者ってことさ。

 英語圏の役者の演技を4タイプに分類する者がいる。すなわち、ローレンス・オリビエ型、ケーリー・グラント型、ジョン・ウェイン型、マーロン・ブランド型の4つだ。ニューマンはブランド型に分類されるが、このスタイルは、ブランドとニューマンの二人の功績によって確立されたといってよい。二人が映画における「演技」そのものの概念をガラリと塗り替えたのである。ニューマンの演技には精神的なリアリズムがあり、スクリーンの外に体温が伝わってくる。出世作のボクシング映画「傷だらけの栄光」では汗が画面から飛びださんばかりであった。

 演技を追求するあまり、監督ともしょっちゅう衝突した。おかげで”反逆児”のようなタフなイメージがついてしまったが、それがますますニューマンの株を上げることになる。「ハスラー」、「暴力脱獄」などは今でも受けがいい。「暴力脱獄」で、大量の卵を気合いで全部食べてしまうエピソードなど最高だった。

 ニューマンは若い頃もかっこよかったが、僕としては白髪でシワが濃くなってきた今のニューマンの方が好きだ。歳を取れば取るほどかっこよくなってきている。「ノーバディーズ・フール」は久々のハマリ役で、嬉しくなった。

 ニューマンは人気が両極端。好きという人はとことん好きだろうし、好きじゃないという人はなかなか好きになれないだろう。これは演じている役柄のほとんどが、僕らの一般ピープルの性格と大分かけ離れていることが原因していると思える。ニューマンの中に自分自身の姿を見つけだしたものは、ニューマンのことが好きでたまらないだろう。あなたはポール・ニューマンのこと、好きですか?嫌いですか?

オリジナルページを表示する